ベンゾフェノン(その他表記)benzophenone

改訂新版 世界大百科事典 「ベンゾフェノン」の意味・わかりやすい解説

ベンゾフェノン
benzophenone


代表的なジアリールケトン融点48~48.5℃,沸点305.9℃,芳香ある無色結晶。通常のケトンとしての性質,反応性に加え特有の性質を示す。たとえばナトリウムなどのアルカリ金属で処理すると,暗青色の金属化合物メタルケチルを生じる。

 ベンゾフェノンは,ベンゼン塩化ベンゾイルあるいはホスゲンから,塩化アルミニウム触媒に用いて(フリーデル=クラフツ反応)合成する。

抗ヒスタミン剤殺虫剤などの原料となる。
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日本大百科全書(ニッポニカ) 「ベンゾフェノン」の意味・わかりやすい解説

ベンゾフェノン
べんぞふぇのん
benzophenone

芳香族ケトンの一つ。ジフェニルケトンあるいはベンゾイルベンゼンともよばれる。ベンゼンと四塩化炭素とを塩化アルミニウムにより縮合させたのち、加水分解すると得られる。化学式C6H5COC6H5、分子量182.2、融点48.5℃、沸点305.4℃。無色の柱状結晶。ゼラニウムに似た芳香をもつ。香料の固定剤、医薬農薬の合成中間体として用いられる。また光増感剤、光重合開始剤として用いられる。ベンゾフェノンの(ポリ)ヒドロキシ置換体には化粧品として使われているものが多く、その一例は2-ヒドロキシ-4-メトキシベンゾフェノンで、オキシベンゾンの名で日焼け止めとして使われている()。

[廣田 穰 2016年2月17日]


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化学辞典 第2版 「ベンゾフェノン」の解説

ベンゾフェノン
ベンゾフェノン
benzophenone

diphenyl ketone.C13H10O(182.22).C6H5COC6H5.ベンゾイルベンゼンともいう.ベンゼンと塩化ベンゾイル,あるいはベンゼン2分子とホスゲン1分子とのフリーデル-クラフツ縮合(フリーデル-クラフツ反応)によって合成される.安定形および不安定形の2形があり,安定形は融点49 ℃,沸点306 ℃,158 ℃(1.33 kPa).1.087.1.597.不安定形は融点26 ℃.ともに結晶.エタノールエーテルクロロホルムに可溶,水に不溶.還元すればジフェニルメタンあるいはベンズヒドロールが得られる.香料の固定剤として用いられる.また医薬品,農薬などの合成原料にも用いられる.LD50 2895 mg/kg(マウス,経口).[CAS 119-61-9]

出典 森北出版「化学辞典(第2版)」化学辞典 第2版について 情報

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ベンゾフェノン」の意味・わかりやすい解説

ベンゾフェノン
benzophenone

ジフェニルケトンともいう。化学式 C6H5COC6H5 。塩化アルミニウムを用いて,ベンゼンと塩化ベンゾイルを縮合させて得られる結晶で,2種類ある。安定型柱状晶は融点 49℃,不安定型柱状晶は融点 26℃。水に不溶,エチルアルコールやエーテルに可溶。香料の固定剤や殺虫剤の原料にする。

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