改訂新版 世界大百科事典 「ベーズ」の意味・わかりやすい解説
ベーズ
Théodore de Bèze
生没年:1519-1605
フランスの人文学者,宗教改革者。ラテン名ベザTheodorus Beza。ブルゴーニュのベズレーの貴族の家に生まれ,少年時代からパリ,オルレアン,ブールジュで教育を受けた。人文学者また詩人として世に出たが,大病によって人生の危機を経験し,福音主義を告白する。1549年ローザンヌのギリシア語教授となり,ジュネーブに移って,59年にカルバンが大学を創設したとき,その初代学長。カルバンの死後は後任の牧師となり,改革派を代表する神学者また教会政治家として,全ヨーロッパとくにフランスの教会を指導し宗教改革の権利を擁護した。文人としてはフランス語の文法を整え,《詩篇》全150編の韻文訳を完成し,聖書学者としてはギリシア語写本の研究を開拓(〈ベザ写本〉の発見),聖書翻訳および注解をした。神学的著作は多く,カルバンの神学を補強し普及させ,正統主義を確立した。政治思想においてはカルバンより先鋭であって,抵抗権の理論を強化した。
執筆者:渡辺 信夫
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報