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ホルムズ海峡 ホルムズかいきょうStrait of Hormuz

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

ホルムズ海峡
ホルムズかいきょう
Strait of Hormuz

イランとアラビア半島の間にあり,西のペルシア湾と南東のオマーン湾を結ぶ海峡。海峡幅は 55~95kmで,間にケシム島ホルムズ島,ヘンジャム島などがある。古くから交通上,戦略上,経済上重要であったが,現在はペルシア湾岸諸国の石油輸送路として戦略上の重要さを増し,アメリカはオマーンを中東における情報収集と緊急時の補給基地にしている。イラン=イラク戦争の際に,海峡の安全航行確保のためアメリカ軍がオマーン国内の軍事基地に駐留したほか,1990~91年の湾岸危機・戦争の際にも注目された。

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知恵蔵の解説

ホルムズ海峡

産油国が臨むペルシャ湾インド洋に通じるアラビア海を結ぶ海峡。オルムズ海峡ともいう。イラン側のバンダル・アッバースとアラビア半島側のアル・ハッサブ(オマーン領)との海峡幅は約40キロメートル。ケシュム島やホルムズ島(いずれもイラン領)が浮かび、それらの間に航行用のレーンが設けられている。
海上貿易の要地としての歴史は古い。大航海時代、海峡に突き出るムサンダム半島(現オマーン領)はポルトガルの支配を受け、更に19世紀末にはイギリスの保護領となった。20世紀初頭、湾岸地域で油田が発見されてからは、海上では唯一の搬出路として、石油戦略上の国際的要衝となっている。現在、1日当たり約1700万バレルが通過(2011年)。これは世界に輸送される原油の約3~4割に相当し、ホルムズ海峡は「タンカー銀座」などとも呼ばれる。また、日本の原油も総輸入量の約8割が通過しており、同海峡は日本経済の「頸動脈(けいどうみゃく)」にもなっている。
従って、ここでの有事は原油価格の上昇及び世界経済の不安定化に直結する。不安の一つは、イスラム過激派によるテロ攻撃である。10年7月、日本の商船三井のタンカーが不審船の接近によって船体に損傷を受けた。紅海の出口ソマリア沖とは違い、海賊船による攻撃との見方は少なく、数日後、アルカイダ系を名乗る組織が「自爆攻撃を行った」との犯行声明を出している(原因は特定されていない)。
もう一つの不安は、供給ルートを握るイランの動向である。白色革命(イスラム革命)後、イランと対立する欧米諸国は、地域の安定に神経をとがらせてきた。実際、イラン・イラク戦争(1980~89年)の際、海峡を通る船舶は攻撃の対象となり、タンカー十数隻が被弾している。湾岸戦争(1990~91年)でも、イランは中立を保ったものの、しばらくの間、航路は閉ざされた。そして近年、再び緊張が高まっている。2006年以来、核疑惑でイランへの経済制裁を続けてきた欧米諸国が更に制裁を強化。12年1月、欧州連合(EU)がイラン産原油の輸入禁止を決定すると、イランは対抗姿勢を強め、ホルムズ海峡の封鎖をほのめかしている。

(大迫秀樹  フリー編集者 / 2012年)

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朝日新聞掲載「キーワード」の解説

ホルムズ海峡

中東のペルシャ湾とオマーン湾の間にある海峡で、もっとも狭いところの幅は30キロ余り。両岸のイランとオマーンの領海が接する。日本からは約1万1千キロ、地球4分の1周分離れている。サウジアラビアをはじめ、ペルシャ湾岸諸国で産出する石油を積んだタンカーなどの大事な通り道になっている。日本の輸入原油の7~8割、液化天然ガスの3割が通過する。

(2015-06-21 朝日新聞 朝刊 1総合)

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デジタル大辞泉の解説

ホルムズ‐かいきょう〔‐カイケフ〕【ホルムズ海峡】

Hormuz》ペルシア湾とオマーン湾とを結ぶ海峡。北岸はイラン南岸オマーン国。原油輸送の要衝。

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百科事典マイペディアの解説

ホルムズ海峡【ホルムズかいきょう】

オルムズ海峡とも。ペルシア湾オマーン湾を結ぶ海峡。幅約40km,最大水深190m。OPEC諸国の生産する石油の多くが通過する石油戦略上の要地。北側に海底電線中継基地のケシュム島,鉄や岩塩を産出するホルムズ島があり,ともにイラン領。
→関連項目バンダル・アッバース

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世界大百科事典 第2版の解説

ホルムズかいきょう【ホルムズ海峡 Strait of Hormuz】

ペルシア湾(アラビア湾)とオマーン湾を結び,ペルシア湾からインド洋方面への出口を形成する海峡。幅約40km。イラン領,オマーン領,公海に分かれる。イラン,クウェート,サウジアラビアをはじめ湾岸諸国で積み出されたOPECの産出する約3分の2にあたる石油は,この海峡を通過せざるをえず,石油戦略の要所となっている。アメリカが,同海峡の対岸オマーンに軍事力の強化を試みている。【加納 弘勝】

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大辞林 第三版の解説

ホルムズかいきょう【ホルムズ海峡】

〔Hormuz〕 ペルシャ湾とインド洋とを結ぶ海峡。幅約50キロメートル。北岸はイラン、南岸はオマーン。

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

ホルムズ海峡
ほるむずかいきょう
Tangeh-ye-Hormuz

イラン南部とアラビア半島のオマーンに挟まれた海峡。オルムズOrmuz海峡ともいう。ペルシア湾とオマーン湾を結ぶ。ペルシア湾内の石油積出し港に出入りする船舶がすべて通過する海上交通の要衝で、石油戦略上の重要地点である。ケシム島、ホルムズ島、ハンガーム島などがある。[香川優子]

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世界大百科事典内のホルムズ海峡の言及

【ペルシア湾】より

…現在,湾岸にはイランのほかにアラブ系のイラク,クウェート,バーレーン,カタル,アラブ首長国連邦の諸国がある。現代においてはホルムズ海峡を境に東側をオマーン湾,西側をペルシア湾と呼んで区別しているが,10世紀のアラブの地理学者マスウーディーによると,当時のペルシア湾はオマーン湾を含む海域と考えられていた。同時期の地理学者イスタフリー,イブン・ハウカルの場合,その範囲はさらにひろがって,アラビア海,インド洋までがその海域にいれられている。…

※「ホルムズ海峡」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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