ボルティモア(David Baltimore)(読み)ぼるてぃもあ(英語表記)David Baltimore

日本大百科全書(ニッポニカ) の解説

ボルティモア(David Baltimore)
ぼるてぃもあ
David Baltimore
(1938― )

アメリカの分子生物学者。ニューヨークに生まれる。1960年スウォースモア大学を卒業後、マサチューセッツ工科大学MIT)、さらにロックフェラー大学で研究を続け、1964年理学博士号を取得した。その後ソーク研究所の研究員となり、1968年にMITの準教授、ついで1972年に教授となった。1982年ホワイトヘッド研究所所長となり、1990年から1992年までロックフェラー大学の学長を務めた。

 ソーク研究所においてダルベッコーの研究室でウイルスの研究に着手、MITに移ったあとも、その研究を続けた。1970年テミンとは独立に逆転写酵素を発見した。従来、遺伝情報は一方的にデオキシリボ核酸DNA)からリボ核酸RNA)に転写されると考えられていたが、この酵素は逆の流れもあることを示した。この発見はがん研究に、のちにエイズウイルス研究に重要な役割を果たした。1975年に「腫瘍(しゅよう)ウイルスと細胞の遺伝物質の相互作用に関する発見」により、ダルベッコー、テミンとともにノーベル医学生理学賞を受賞した。

[編集部 2018年11月19日]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

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