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手足口病 てあしくちびょう hand, foot and mouth disease

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

手足口病
てあしくちびょう
hand, foot and mouth disease

1~3歳の幼児に多い伝染性ウイルス疾患で,近年はコクサッキーウイルスによる感染が多い。潜伏期は3~4日。感冒様症状を前駆症状として,手掌,足底,口腔粘膜などに発疹が現れる。手足の皮膚にできる発疹は初め小紅斑様であるが,急速に楕円形の小水疱化する。

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出典|ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典
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知恵蔵2015の解説

手足口病

手のひらや足の甲、口の中の粘膜などに、直径2~5ミリメートルの水疱(すいほう)性の発疹が現れるウイルス感染症。学齢前の子どもがよくかかり、発症者の約半数を2歳以下の乳幼児が占める。成人は免疫をもっていることが多く、発症する人はほとんどいない。毎年夏季に流行のピークがある。
38°C以下の軽い熱が出ることもあるが、たいていは1日で治まり、発疹も1週間ほどで、かさぶたも残さず消失する。特に治療を要しない病気で予後も大半は良い。ただし、まれに髄膜炎や脳炎、心筋症などで死亡に至るケースもあるので、高熱や頭痛、嘔吐(おうと)といった症状が見られたら注意が必要である。また、特別の治療法がなく自然治癒を待つのみとは言っても、ヘルパンギーナヘルペスアフタ性口内炎、水痘、水いぼ等との鑑別診断は必要なので、発疹を見つけたら医療機関を受診するべきである。
発疹には普通、痛みやかゆみはないが、口内にできると染みて食べたり飲んだりしにくくなるので、脱水にならないよう注意する必要がある。
この病気を引き起こすウイルスとして、コクサッキーA16(CA16)、コクサッキーA10(CA10)、コクサッキーA6(CA6)、エンテロウイルス71(EV71)等が知られている。このうち、重症に至る例が比較的多いのは、EV71とされている。
主に、よだれやくしゃみなどを介して飛沫(ひまつ)感染する。便に排泄(はいせつ)されたウイルスや、破れた水疱に含まれるウイルスに感染することもある。ワクチンはまだ開発されておらず、最も有効な感染予防策は、手洗いを徹底して手指の衛生を保つことである。また、発疹が消えてからも半月から1カ月間にわたって便からのウイルス排泄は続くので、患児がまだおむつを着けている場合は、病後もしばらくおむつの処理に気をつけなければならない。
感染症法(感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律)においては、五類定点把握対象疾患に指定されている。なお、飛沫で感染するものの大半が軽症で治ることから、学校保健安全法における学校感染症には指定されておらず、学童が罹患した場合にも出席停止等の規定はない。
2011年6月後半(第25週)から九州地方中国地方を中心に流行し始め、ピーク時には例年の約5倍に迫る患者数が確認されたが、7月終わり(第30週)から減少に転じた。なお、11年に発生した患者の検体からは、EV71とCA6の2種類のウイルスが分離されている。

(石川れい子  ライター / 2011年)

出典|(株)朝日新聞出版発行「知恵蔵2015」
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デジタル大辞泉の解説

てあしくち‐びょう〔‐ビヤウ〕【手足口病】

コクサッキーウイルスなどの感染により、手・足や口の中に小さな水疱(すいほう)性の発疹(ほっしん)ができる病気。数週間で治る。幼児に多い。

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百科事典マイペディアの解説

手足口病【てあしくちびょう】

幼児期にみられるコクサッキーウイルス,エンテロウイルスなどのウイルスによる感染症。手,足,口などに丘疹もしくは小水疱が現れる。手や足の水疱は破れることはなく,数日で吸収されて消えるが,口の水疱は破れて潰瘍(かいよう)となり,口内炎のような痛みを伴う。

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家庭医学館の解説

てあしくちびょう【手足口病 Hand, Foot and Mouth Disease】

[どんな病気か]
 ある種のウイルスが感染し、手、足、口に水疱性(すいほうせい)の発疹(ほっしん)の現われる病気です。
●かかりやすい年齢
 生後7か月から4、5歳の子どもです。
●流行する季節
 夏に流行することが多いのですが、秋から冬にかけて流行したこともあります。
[症状]
 3~5日の潜伏期の後、手のひらや指の側面、足のかかとや親指の側面などに水疱がまばらにできます。周囲が赤く縁どられた米粒(こめつぶ)大から小豆(あずき)大の楕円形(だえんけい)の水疱で、かゆみや痛みはありません。
 水疱は破れることはなく、2~3日たつと内容液が吸収されて小豆色から飴色(あめいろ)の斑点(はんてん)になり、数日で消えます。なお、足背(そくはい)やひざの関節の外側、臀部(でんぶ)などにストロフルス様または汗疹(かんしん)様の発疹が出ることがありますが、数日で消えます。
 口の中の水疱は、くちびるの内側、頬(ほお)の内側、舌、軟口蓋(なんこうがい)などに1、2個できますが、短時間で破れるので、ふつうは赤く縁どられた直径5~6mmの楕円形(だえんけい)の潰瘍(かいよう)になっています。この潰瘍は、アフタ性口内炎のように食事のときに痛むので、食事をいやがることから、母親が気づくことがあります。
 気づかない程度の熱が出ることが多いのですが、20%くらいの子どもは38℃前後の熱が2~3日出ます。
[治療]
 有効な薬はありません。口の中の粘膜疹(ねんまくしん)が痛むときは、食物の味を薄くしたり、流動食にしたりして痛みを軽減するほか、粘膜疹に副腎皮質(ふくじんひしつ)ホルモンステロイド)の口腔用軟膏(こうくうようなんこう)を塗ります。
 熱が高いときは、解熱薬(げねつやく)を使うこともあります。
[予防]
 病原体は、コクサッキーウイルスのA群16型、エンテロウイルスの71型などの腸内ウイルスで、おもに飛沫感染(ひまつかんせん)、ときに糞便(ふんべん)その他から経口感染(けいこうかんせん)します。
 流行期には不顕性感染者(ふけんせいかんせんしゃ)も多く、同様に感染源になるので、隔離による予防は疑わしく、また、予後の良好な病気です。
 このため、保育園幼稚園では、園医と相談して登園の可否を決定します。
 予防接種はありません。

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世界大百科事典 第2版の解説

てあしくちびょう【手足口病 hand,foot and mouth disease】

手,足,口に発疹が出現する感染症。コクサッキーウイルスA16の感染によるもので,幼児に多く,成人にもみられることがある。日本では春から夏にかけて流行する。軽度ないし中等度の発熱があり,咽頭痛を訴えることが多い。咳や鼻汁はほとんどみられない。1~2日すると歯茎,ほおの内側の粘膜や口蓋,手掌,つめの周り,足底などに米粒状または円い発疹が出現する。発疹は中心が白みがかって,その周囲は発赤している。口の中のものは小さい潰瘍となることがある。

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大辞林 第三版の解説

てあしくちびょう【手足口病】

手のひら、足の裏、口の中などに紅斑・小水疱ができる病気。ウイルスの感染によるもので、伝染力が比較的強く、幼児や小児の間でしばしば小規模な流行を見る。一~二週間で自然治癒する。

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

手足口病
てあしくちびょう
hand foot and mouth disease

発疹(ほっしん)の性状と出現部位に特徴のある感染症で、おもにエンテロウイルスに属するコクサッキーウイルスの感染により、手足や口の中に水疱(すいほう)性の発疹が現れる疾患である。1957年にカナダのトロントで流行したときに病原ウイルスが発見された比較的新しい疾患であるが、その後に世界各地でも流行がみられ、かなり普遍的な疾患であることが認められた。最初はコクサッキーウイルスA16型(CA16型)による流行がみられたが、その後エンテロウイルス71型(E71型)による流行もあり、他の型のエンテロウイルスによる手足口病の散発例も報告されているところから、手足口病はCA16型によるものが多いが、他のエンテロウイルス(とくにE71型)の感染でもみられる症候群と考えられるようになった。
 日本でも1965年(昭和40)に初めて報告され、67年にウイルスが分離された。70年と75年にはCA16型による手足口病が全国的に流行し、73年と78年にはE71型による流行がみられるなど、ほとんど毎年のように病原ウイルスを変えて発生している。[柳下徳雄]

感染

一般に、4歳未満の幼児に好発し、年長児には少なく、6か月未満の乳児はまれである。男児にやや多くみられ、成人にもまれにみられるが軽症である。ウイルスは咽頭(いんとう)から数日間、糞便(ふんべん)からは10日前後排出され、おもに飛沫(ひまつ)感染、ときに経口感染する。ウイルスは相対湿度の高いところで長く感染性を保つので、夏季に好発する。潜伏期は4~6日で、通常前駆症状なしに急に発病することが多い。[柳下徳雄]

症状

水疱疹は手のひらや指の側面、かかとや足指の側面にまばらにみられ、その周囲は赤くくま取られ、米粒大からアズキ大の楕円(だえん)形で、かゆみや痛みはない。破れることなく、2~3日で内容液が吸収され、アズキ色または飴(あめ)色の斑点(はんてん)となって数日で完全に消失する。口中では、口唇の内側、頬(ほお)の内側、舌、軟口蓋(こうがい)などに1、2個できるが、短期間のうちに破れ、赤くくま取った直径5、6ミリメートルの楕円形の潰瘍(かいよう)となる。食事のときにしみて痛むので食事を嫌がり、それで手足口病に気づくこともある。また、20%くらいは38℃前後の発熱が2日ほど続く。[柳下徳雄]

治療と予防

症状が軽く、とくに治療を要しないものが多いが、口中の粘膜疹の痛みや発熱に対症療法を行うこともある。特別の予防法はなく、不顕感染が多い。また、患者が身につけていた衣類や器物の消毒をし、手をよく洗い、乾燥に努める。予後良好な疾患であり、保育園や幼稚園でも登園禁止をしないのが普通である。[柳下徳雄]

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世界大百科事典内の手足口病の言及

【風邪】より

…また,いわゆる〈夏風邪〉はエンテロウイルスによるものが多い。手足口病もこのエンテロウイルスやコクサッキーウイルスによるもので,広義の風邪に含まれる。(3)インフルエンザ インフルエンザウイルスの感染による。…

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