ポストモダン(その他表記)post-modern

デジタル大辞泉 「ポストモダン」の意味・読み・例文・類語

ポストモダン(postmodern)

近代を超えようとする芸術運動。近代の合理主義的傾向を否定する考え方。もともとは、機能主義合理主義に対置する新しい建築、という意味近代建築用語。→ポストモダニズム

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精選版 日本国語大辞典 「ポストモダン」の意味・読み・例文・類語

ポスト‐モダン

  1. 〘 名詞 〙 ( [英語] post-modern )
  2. 機能主義と合理主義に基づく近代建築(モダニズム)に対して、異質な要素を寄せ集めたり偶然性を重んじたりする建築様式。一九七〇年代後半、イギリスの建築評論家チャールズ=ジェンクスによって提唱された。ポストモダニズム。
  3. 理性による啓蒙を基とする近代的な社会、制度、思想等の一元的な原理批判し、消費社会や情報社会に対応した知や実践のあり方を模索する思想的・文化的な傾向。哲学的概念としてはフランスの哲学者ジャン=フランソワ=リオタールによって提示された。

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ポストモダン」の意味・わかりやすい解説

ポスト・モダン
post-modern

ポスト・モダニズムともいい,「モダニズム (近代主義) 以降」の意味。イギリスの建築評論家 C.ジェンクスが『ポスト・モダニズムの建築言語』 (1977年) の中で現在の建築を論じるために規定した言葉。モダニズムが近代社会成立のために脱ぎ捨ててきた意匠を拾い直して再構築する試みをいい,古典的な歴史様式を用いる混成的スタイル,装飾復権,民族的・土着的なものの復権などを行なった。こうした建築は 60年代ごろから既に R.ヴェンチューリらによって行なわれていたが,その後 E.ソットサスのデザインなど,文化・思想・社会全般でポスト・モダンの概念が用いられ始め,さまざまな使用法に分化していく。思想的な面では,近代が陥った危機として,近代そのものの再検証を図ろうとする立場 (U.ハーバーマス) ,高度情報・資本主義社会の性格として受け取ろうとする立場 (J.F.リオタール) とに分けられよう。美術においても,観念化・極限化して豊かさを失った現代美術への批判としてのニュー・ペインティングが過去の様式や卑俗な様式などの折衷として現れる,というわけである。しかし現在が近代から切断されたものか連続しているものか,後期近代 (レイト・モダン) という言葉を使おうとする立場もあり,議論はまだまだ多い状況となっている。

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知恵蔵 「ポストモダン」の解説

ポストモダン

現代という時代を、近代が終わった「後」の時代として特徴づけようとする言葉。各人がそれぞれの趣味を生き、人々に共通する大きな価値観が消失してしまった現代的状況を指す。現代フランスの哲学者リオタールが著書のなかで用いて、広く知られるようになった。リオタールによれば、近代においては「人間性と社会とは、理性と学問によって、真理と正義へ向かって進歩していく」「自由がますます広がり、人々は解放されていく」といった「歴史の大きな物語」が信じられていたが、情報が世界規模で流通し人々の価値観も多様化した現在、そのような一方向への歴史の進歩を信ずる者はいなくなった、とされる(『ポスト・モダンの条件』1979年)。また、ポストモダンという言葉は、ポスト構造主義の思想傾向を指す言葉としても用いられ、その際はポスト構造主義とほぼ同義である。唯一の真理をどこかに求めようとする思考を徹底的に批判しようとしたデリダ、近代は自由を求め拡大したのではなく、むしろ人々の内面と身体を管理する技術を発達させたと述べたフーコーなどは、共に、近代的な物語を解体しようとした思想家として見られるからである。

(西研 哲学者 / 2007年)

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百科事典マイペディア 「ポストモダン」の意味・わかりやすい解説

ポスト・モダン

ポスト・モダニズム

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「ポストモダン」の意味・わかりやすい解説

ポスト・モダン
ぽすともだん

ポスト・モダニズム

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