マクベス(英語表記)Macbeth

翻訳|Macbeth

デジタル大辞泉 「マクベス」の意味・読み・例文・類語

マクベス(Macbeth)

シェークスピアの四大悲劇の一。5幕。1604~1606年作。スコットランドの武将マクベスは魔女予言と妻の教唆野心をつのらせ、王ダンカンを暗殺して王位を奪うが、のちに王の遺児らに倒されるまでを描く。
リヒャルト=シュトラウス交響詩。1886年から1888年にかけて作曲初演改訂に基づく。
ベルディイタリア語によるオペラ。全4幕。1847年初演。のち1865年に改訂。に基づく。

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精選版 日本国語大辞典 「マクベス」の意味・読み・例文・類語

マクベス

  1. ( 原題[英語] Macbeth ) 戯曲。五幕二八場。シェークスピア作。一六〇六年成立。おなじころロンドン地球座で初演。スコットランドの武将マクベスが、三人の魔女の予言を信じ、妻にそそのかされてダンカン王を殺害し、将軍バンクオーを暗殺して王位につくが、マルカム王子一派に討たれる。シェークスピア四大悲劇の一つ。

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改訂新版 世界大百科事典 「マクベス」の意味・わかりやすい解説

マクベス
Macbeth

イギリスの劇作家シェークスピアの四大悲劇の一つ。1606年ころ作。題材はR.ホリンシェッドの《スコットランド年代記》(1577,増補版1587)をかなり自由に改変して用いている。スコットランド出身の国王ジェームズ1世の求めに応じて宮廷での特別の上演用に書かれたものだとする説もある。スコットランドの勇将マクベスは,凱旋の途中3人の魔女から自分が王になると告げられ,男まさりの夫人の教唆もあって,自己の居城に滞在中のダンカン王を殺して王位につく。そのあと彼は友人のバンクウォーを暗殺し,さらにマクダフの妻子をも毒牙にかけるが,やがて国内に反乱が起こり,ダンカン王の遺児マルカムが亡命先から兵を率いて帰国する。マクベスは魔女の二枚舌的な予言に踊らされて必死の戦いを挑むが,夫人が狂死したあとの戦闘でマクダフの手によってたおされる。シェークスピア悲劇の中で最も短く,筋も単一で進展が速い。恐怖と絶望の中に罪を重ねてゆく主人公の,心の葛藤と孤独が表現されるせりふの詩的完成度は比類がない。日本では,初期の代表的翻訳坪内逍遥のもの(1916)があり,1916年これにもとづきシェークスピア没後300年祭記念として東京有楽座などで無名会によって上演された。なお,黒沢明の映画蜘蛛巣城》(1957)は《マクベス》を素材としている。
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百科事典マイペディア 「マクベス」の意味・わかりやすい解説

マクベス

シェークスピア作の悲劇。5幕。推定初演1606年。スコットランドの武将マクベスが魔女や夫人にそそのかされて王や同僚を次々と殺し,やがて簒奪(さんだつ)した王位から没落するまでの物語。罪と良心の問題を速いテンポのうちに掘り下げた傑作。四大悲劇のうち最も緊密な構成をもち,心の葛藤や孤独を表現するせりふの詩的完成度は比類がない。
→関連項目インバネス

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山川 世界史小辞典 改訂新版 「マクベス」の解説

『マクベス』
Macbeth

シェークスピアの四大悲劇の一つ。1606年初演。魔女の予言にまどわされて,次々と殺人を重ねたスコットランドの武将マクベスを主人公とし,良心の荷責に悩まされる彼の姿を描き尽くした傑作。11世紀半ばに実在したスコットランド王マクベスを題材としている。

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デジタル大辞泉プラス 「マクベス」の解説

マクベス〔映画:1948年〕

1948年製作のアメリカ映画。原題《Macbeth》。シェークスピアの同名戯曲の映画化。監督:オーソン・ウェルズ、出演:オーソン・ウェルズ、ジャネット・ノーラン、ダン・オハーリー、ロディ・マクドウォールほか。

マクベス〔映画:1971年〕

1971年製作のアメリカ映画。原題《Macbeth》。シェークスピアの同名戯曲の映画化。監督:ロマン・ポランスキー、出演:ジョン・フィンチ、フランセスカ・アニス、マーティン・ショウ、ニコラス・セルビーほか。

マクベス〔オペラ〕

イタリアの作曲家ジュゼッペ・ヴェルディのイタリア語による全4幕のオペラ(1847)。原題《Macbeth》。シェークスピアの同名の戯曲を題材にした作品。

マクベス〔交響詩〕

ドイツの作曲家リヒャルト・シュトラウスの交響詩(1889-1890)。原題《Macbeth》。シェークスピアの同名の戯曲に基づく。

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旺文社世界史事典 三訂版 「マクベス」の解説

マクベス
Macbeth

シェークスピアの四大悲劇の1つ
1605年ごろの作。妖女の預言にまどわされてダンカン王を暗殺し,王位についたマクベスが非業の死をとげるまでの物語。

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世界大百科事典(旧版)内のマクベスの言及

【アイロニー】より

…これが劇的アイロニーの効果である。《マクベス》のなかで,自分を殺す計画があることを知らぬダンカン王が,マクベスの居城や人柄をほめたたえるのは,このアイロニーの有名な例である。(3)〈ロマンティック・アイロニー〉はドイツ・ロマン派に始まる概念だが,その後一般化されて,イリュージョンの形成と自己破壊,それに伴う自己憐憫(れんびん)と自己嘲笑の交錯がもたらす文学的効果をさす。…

【歴史劇】より

…およそ1580年代から1630年代ぐらいまで盛んであった年代記史劇は,散文による年代記を資料として,劇としては中世の道徳劇から発達してきたものであった。 しかし,もう少し広く〈歴史劇〉を解することも可能であり,その場合,シェークスピア作品の中では,《リア王》や《マクベス》も〈歴史劇〉と呼ぶことができるし,また,やはり〈悲劇〉の中に入れられている〈ローマ史劇〉の一連の作品も広義の歴史劇と言うことができる。《タイタス・アンドロニカス》や《ジュリアス・シーザー》《アントニーとクレオパトラ》《コリオレーナス》などがそれで,これらはプルタルコスの《英雄伝》などを資料として書かれたものである。…

※「マクベス」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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