ノンレム睡眠とよばれる深い睡眠中に、寝返りをうつ時間帯に一致する体動に続いて、突然ベッドから起き上がったり周囲を歩き回るなどの行動がしばらくの間続く状態。睡眠時遊行症と同義とされることが多く、睡眠障害国際分類では睡眠中もしくは睡眠覚醒(かくせい)移行時などに異常行動がみられる睡眠時随伴症の一つに分類される。かつては夢中遊行症という呼称も使われたが、病態に対して的確でないという理由で現在ではほとんど使われない。ほかに、ドアを開けたり衣服を着替えて外出しようとするなどの異常行動を示すこともあり、ときにおびえて悲鳴や叫び声をあげるなど夜驚症に似た行動を伴うこともある。一見するとなにか目的があって行動しているようにみえるが、表情はうつろであり、翌朝目覚めたときにこうした行動について記憶していない。4~12歳ころの小児に多いが、成人にみられることもある。
夢遊病は、かつては睡眠中に限定した異常行動だけをいうのではなく、意味のない動作を反復するてんかんの自動症やヒステリーの解離症状、憑(つ)き物妄想でみられる夢遊状態なども含む広い概念であった。
[編集部]
歯ぎしりや夜驚,夜尿などと同様に,睡眠時異常現象,パラソムニアparasomniaの一つで,夢中遊行とか夢遊症ともいわれる。夜中に家の中や路上を徘徊し,ときには裸で歩いたり,木に登ったりするが,また自分のベッドに戻る。両親や異性のベッドに入ることもある。翌朝はなにも覚えていない。持続は20~30分のことが多い。夢のなかの行動のようだがレム睡眠や夢とは関係なく,ノンレム睡眠の第3段階ないし第4段階などの中程度睡眠,あるいは深睡眠で始まる。夢中遊行中はしだいに低振幅速波の第1段階の脳波パターンになる。神経症的な葛藤があって,それに対する反応として起きる。夜尿を合併することが多く,素因を認めることがある。子どもや故郷を離れて寮生活をする青年男子に多い。男女比は4対1で,出現頻度は1~6%とされる。治療としては,葛藤を解決することが重要であるが,ベンゾジアゼピン系の抗不安剤を日中から投与し,就寝前に同系統の睡眠導入剤を投与することも有効である。
→睡眠
執筆者:石黒 健夫
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…未熟児に多く,覚醒時には正常に呼吸しているが,眠ると呼吸が止まるためで,オンディーヌの呪い症候群のなかに含まれるものである。
[睡眠時の異常現象]
(1)夢中遊行 夢遊病とも呼ばれる。幼稚園から小学校までの子どもの15%にみられる。…
※「夢遊病」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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