マコガレイ(読み)まこがれい(その他表記)marbled sole

日本大百科全書(ニッポニカ) 「マコガレイ」の意味・わかりやすい解説

マコガレイ
まこがれい / 真子鰈
marbled sole
[学] Pleuronectes yokohamae

硬骨魚綱カレイカレイ科に属する海水魚。北海道中部から大分県付近までと、朝鮮半島沿岸黄海、渤海(ぼっかい)および東シナ海に分布する。暖海性のカレイで、南日本に多い。体は楕円(だえん)形、口は小さく上顎(じょうがく)の後端は目の前縁下に達する。側線胸びれ上方で強く湾曲する。

 水深120メートル以浅の沿岸に生息する。おもに多毛類、カニ類、二枚貝など底生小形動物を食べる。雄は12センチメートル、雌は15センチメートルで成熟する。産卵は11月から翌年4月に、岸近くの岩礁域や内湾で行う。卵は沈性粘着卵で、その径はおよそ0.8ミリメートル。孵化(ふか)した仔魚(しぎょ)は全長3ミリメートル前後で、浮遊生活をする。体長10ミリメートルほどで着底し、波打ち際で生育する。1年で8センチメートル、3年で15~20センチメートル、5年で30センチメートルぐらいになり、体長45センチメートルに達する。刺網(さしあみ)、小型底引網、定置網などで漁獲される。煮つけにすると美味だが、産卵期の冬ではまずい。

 大分県日出(ひじ)町に木下侯の城跡があり、この城の近くの海岸でとれるマコガレイをシロシタガレイ城下鰈)と称し、刺身にして賞味する。マガレイに似ているが、マガレイは無眼側に黄帯があるのに対して、マコガレイは一様に純白色であり、両眼の間に鱗(うろこ)があることなどで区別ができる。

[尼岡邦夫]


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改訂新版 世界大百科事典 「マコガレイ」の意味・わかりやすい解説

マコガレイ (真子鰈)
marbled sole
Limanda yokohamae

カレイ目カレイ科の海産魚。北海道南部以南の日本各地でふつうに見られ,重要な食用魚種であることから多くの地方名をもつ。仙台でアオメ,北陸地方では口の小さいところからクチボソ,中国地方ではホソクチ,ヤマブシガレイなどといわれる。単にマコとも呼ばれる。大分県日出町の城跡付近の海底でとれるものはシロシタガレイ(城下鰈)と呼ばれ珍重されている。産卵期は12~2月中旬で,体長20cm以上に達すると産卵に参加する。1腹の卵数は15万~30万粒で,大きなものでは100万粒を超すものもある。卵径約0.8mmの沈性付着卵で海底の砂地に産みつけられる。水温16℃で約8日で孵化(ふか)する。9mmのころから変態を始め,その後深さ10m前後の砂泥地に2~3月ころまで生息している。浮遊期にはケイ藻,橈脚(じようきやく)類(コペポーダ)の幼生,着底後はゴカイ,ヨコエビ,カニ,貝類などを摂餌する。成長は,1年で全長8~15cm,3年で20~30cmになる。6~9月がしゅんで,刺身,煮つけなどにして喜ばれる。
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百科事典マイペディア 「マコガレイ」の意味・わかりやすい解説

マコガレイ

カレイ科の魚。地方名マコ,モガレイ,アマテ,アマガレイなど。全長20〜30cm。眼は体の右側にある。有眼体側は暗褐色で黒褐色斑が散在。北海道南部以南に分布するが,南日本に多い。本種に似たマガレイはこれより北方に分布し,両種とも美味。→シロシタガレイ
→関連項目カレイ

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「マコガレイ」の意味・わかりやすい解説

マコガレイ
Pseudopleuronectes yokohamae

カレイ目カレイ科の海水魚。体長 45cm。眼は体の右側にあり,口は小さい。有眼側の体色は暗褐色。アマテガレイ,マコ,マガレ,ホソクチなどとも称される。北海道南部から大分県,東シナ海北部,黄海ポー(渤)海に分布する。食用に供され,夏が最も美味とされる。

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栄養・生化学辞典 「マコガレイ」の解説

マコガレイ

 [Pleuronectes yokohamae].カレイ目カレイ科の海産魚.45cmになる.食用にする.

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世界大百科事典(旧版)内のマコガレイの言及

【カレイ(鰈)】より

…孵化(ふか)したばかりの仔魚(しぎよ)はふつうの魚と同じように両側に1個ずつの眼をもち,体を左右に振って遊泳している。それが底生生活に移行する直前,例えばマコガレイでは体長10mmのころに左の眼が移動し始め,額を通って右側に移る。マコガレイでは体長14mmで両眼とも右側に並ぶと着底し,さらに無眼側の色素がなくなり,有眼側の色素が濃くなって変態を終了する。…

※「マコガレイ」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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