改訂新版 世界大百科事典 「マツバラン」の意味・わかりやすい解説
マツバラン
Psilotum nudum (L.) Griseb.
常緑で姿が松の葉のように線状であることから,松葉蘭の名がついた。シダ植物マツバラン科の多年草。通常着生,時に地上生。根がない。地下茎は細く1~2mm,密に二叉(にさ)に分枝し,褐色の仮根を密生する。地上茎は地下茎から生じ,直立し,高さ10~30cm,緑色,毛はなく,細く1~1.5mm,数回立体的に二叉に分枝し,縦に稜が走り,その上に小突起状の葉がまばらにつく。胞子囊をつける葉は二叉に分かれている。胞子囊は葉の表側につき,3室からなり,若い時は緑色,のちに黄色になる。胞子は黄白色。本州以南の日本,済州島,世界の熱帯,亜熱帯に広く分布する。
江戸時代に観賞植物として愛玩され,枝がらせん状に巻くもの,しだれるもの,葉がなく滑らかになったものなどいろいろな型の120余の品種がつくられた。
執筆者:加藤 雅啓
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報