マドリード大学(読み)まどりーどだいがく(英語表記)Universidad Complutense de Madrid

日本大百科全書(ニッポニカ) 「マドリード大学」の意味・わかりやすい解説

マドリード大学
まどりーどだいがく
Universidad Complutense de Madrid

スペインの首都マドリード北西「大学都市」区にある同国最大の国立大学。正式校名マドリード・コンプルテンセ大学。コンプルテンセは同大学の創立地、アルカラ・デ・エナーレスAlcalá de Henaresの旧称コンプルトゥムComplutumにちなむ。1499年教皇アレクサンデル6世(在位1492~1503)の設立認可教書を得たトレド大司教ヒメネスが、1508年に設立した神学中心のアルカラ・デ・エナーレス学寮制大学を前身とする。法学中心のサラマンカ大学(1227年ごろ設立)と並び16~18世紀にかけて、ラテンアメリカ植民地に多くの上級聖職者、行政官僚を送り出し、また植民地に設立された26大学のモデルとなった。18世紀末一時消滅しかけたが、1821年公教育法に基づき開設されたマドリード中央大学の中心施設として、1838年アルカラからマドリードへ移転。19世紀末、大学の教育方針をめぐりカトリック系保守派と自由主義派の対立抗争があって分裂危機の状態を続けたが、アルフォンソ13世、プリモ・デ・リベラ内閣期(1923~30)の「大学都市」建設プランを契機として統一と平静に向かい、その後の発展路線にのった(スペイン内戦期を除く)。

 1970年以降、大学の近代化を目ざして学部学科・科目構成、カリキュラム内容、修業年限延伸などの改革が行われた。1999年現在、学部20(哲学、言語学、地理・歴史学、教育学、教員養成、化学、生物学、数学地質学物理学、医学、薬学獣医学歯学、法学、政治・社会学、経営管理学、ジャーナリズム、心理学、美術)、技術系高等専門学校7、研究所17、実習病院7、学生寮7。各学部修業年限は医学部6年を除き、全学部5年(得業士)、修士課程2年、博士課程3もしくは4年(論文審査を要する)となった。教員数約5000人、学生数約12万7000人。

[皆川卓三]

『Alberto JiménezHistoria de la Universidad Española(1971, Alianza Editorial) International Association of universities : International Handbook of Universities(1996, Stockton Press)』

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「マドリード大学」の意味・わかりやすい解説

マドリード大学
マドリードだいがく
Universidad Complutense de Madrid

スペイン,マドリードにある代表的な国立の総合大学。共学制。 1499年に認可を受け,1508年アルカラデエナレスに設立された。 1836年マドリードに移転したのを機会に,サン・カルロス医科カレッジ,サン・イシドロ王室研究所など既成の高等教育,研究施設を統合してスペイン最高のマドリード大学が設けられ,これが現在の基礎となっている。哲学,教育,心理,言語,地理・歴史,化学,物理,数学,生物学,地質学,法学,医学,薬学,獣医学,政治・社会学,経済・経営,情報,芸術などの学部と,航空,建築,核エネルギー,鉄鋼森林,農業関係の専門学校や研究所を備えている。教員数約 5300名,学生数約 12万 4200名 (1997) 。

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