マメコガネ(英語表記)Popillia japonica

改訂新版 世界大百科事典 「マメコガネ」の意味・わかりやすい解説

マメコガネ (豆黄金)
Popillia japonica

甲虫目(鞘翅(しようし)類)のコガネムシ科の昆虫。成虫幼虫ともに農作物果樹および花卉園芸害虫として知られる。成虫の頭部胸部暗緑色の金属光沢があり,上翅は黄褐色で条溝がある。体長10mm内外。成虫は5月ころから出現し,日中に群がって葉を食べる習性があり,ダイズ,アズキ,ブドウなどが著しい被害を受けることがある。北海道から九州まで各地にもっともふつうに見られるほか,北アメリカにも分布する。夏ころ土中産卵孵化(ふか)した幼虫は植物の根を食べて成育,翌年の初夏のころ土中で蛹化(ようか)するが,北海道などの寒い地方では2年目の冬を幼虫で過ごす。1916年,アメリカのニュージャージー州で最初に発見されたが,その後,アメリカ全土に広がり大被害を与え,Japanese beetleの名で恐れられている。日本から輸入したハナショウブの根のまわりの土に幼虫が混じって侵入したとみられている。アメリカでの加害植物は約300種で,日本からコツチバチなどの天敵が輸入された。
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日本大百科全書(ニッポニカ) 「マメコガネ」の意味・わかりやすい解説

マメコガネ
まめこがね / 豆金亀子
Japanese beetle
[学] Popillia japonica

昆虫綱甲虫目コガネムシ科に属する昆虫。日本各地に産する害虫で、1916年ごろ北アメリカに侵入し、数年の間にニューヨークからペンシルベニアへと分布を拡大し、大発生して農作物に大害を与えた。その後、さらに各地に広がり農業上の大害虫となった。英名はこのような事情からつけられたものである。体長約1センチメートルの卵形の甲虫。黒色で銅緑色の光沢があり、ときに赤銅色を帯び、上ばねは褐色で縦溝が並び、周縁が緑色に光り、尾節板には一対の白い毛の紋がある。成虫は5~10月にみられ、昼間活動しダイズ、ブドウ、クリをはじめ多種の植物の葉を害するが、夜間灯火にはこない。幼虫は土中にすむジムシで、シバや苗木などの根を食害し、成育には1、2年かかる。アメリカで大害が出た当時、アメリカ政府は横浜に調査所を設置して日本国内での天敵を探し、マメコガネツチバチなどを発見、アメリカに移入して駆除に利用した。

[中根猛彦]

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「マメコガネ」の意味・わかりやすい解説

マメコガネ
Popillia japonica; Japanese beetle

鞘翅目コガネムシ科。体長 10mm内外。体は緑色で上翅は赤褐色。頭部は小さく,前胸背後縁は後方に張出すが中央部小楯板の前方でくぼむ。各腹節にそれぞれ1列の毛があり,尾節板には1対の白毛束がある。ブドウなど多くの植物の大害虫で,成虫は葉を,幼虫は根を食害する。成虫は5~10月に出現する。北海道,本州,四国,九州に分布する。 1916年には北アメリカに侵入し,同地の作物に大害を与えた。なお,奄美大島には上翅の会合部および翅縁が広く緑色を帯びるツキガタマメコガネ P. insularisを,沖縄本島にはオキナワマメコガネ P. lewisiを産する。 (→コツチバチ )  

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百科事典マイペディア 「マメコガネ」の意味・わかりやすい解説

マメコガネ

コガネムシ科の甲虫の1種。日本全土に分布。体長10mm内外,光沢ある緑黒色で,前翅の大部分は黄褐色。成虫は年1回夏に発生し,ブドウやマメ類などの葉を食害する。幼虫は土中にすみ根を食害する。日本ではコガネツチバチ類やヤドリバエ類などの天敵が多く,大発生をすることはないが,大正初期に北アメリカ東部に誤って侵入したものは,天敵がいないためほとんど全米に広がり,果樹などの大害虫になった。米国ではジャパニーズ・ビートルと呼ばれる。

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小学館の図鑑NEO[新版]昆虫 「マメコガネ」の解説

マメコガネ
学名:Popillia japonica

種名 / マメコガネ
解説 / いろいろな植物の葉を食べます。
目名科名 / コウチュウ目|コガネムシ科
体の大きさ / 9~13mm
分布 / 北海道~九州
成虫出現期 / 5~8月

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世界大百科事典(旧版)内のマメコガネの言及

【帰化生物】より

… 帰化動物は,天敵や抗争種がいない場合,爆発的に増えて,農作物などにひどい害を与えることがある。アメリカ合衆国に1916年ころ苗について日本から入ったといわれ,Japanese beetleの名で知られるマメコガネが,日本では特別顕著な害がなかったのに,アメリカでは東部にまんえんし,リンゴ,モモなどの果樹をはじめ,マメ類その他の作物の重要な害虫になったのは,その一例である。日本に入ったイセリアカイガラムシも果樹その他に大害を及ぼしたが,原産地の天敵ベダリアテントウを導入することによって,まんえんを防ぐことができた。…

【ツチバチ(土蜂)】より

…ツチバチ類とコツチバチ類はともにコガネムシの天敵として重要である。ヒメハラナガツチバチ,マメコガネコツチバチTiphia popilliavora,クロコガネコツチバチT.phyllophagaeなどは,日本からアメリカに侵入したマメコガネの天敵として,日本からアメリカに輸出され,防除に役だっている。【勝屋 志朗】。…

※「マメコガネ」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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