改訂新版 世界大百科事典 「マレシャル」の意味・わかりやすい解説
マレシャル
Pierre Sylvain Maréchal
生没年:1750-1803
フランスのジャーナリストで革命思想家。パリの富裕なブドウ酒商人の家に生まれ,弁護士を志して法律を学んだが,文才に恵まれ,20歳のとき《田園詩》を発表して好評を得たので,文筆生活に入った。啓蒙思想の影響を受けてしだいに無神論に近づき,その反宗教的著作のゆえに1788年に一時投獄され,匿名で反王政的・平等主義的パンフレットを刊行した。革命勃発後には,《パリの革命》という新聞の寄稿者になり,無神論的な教会批判と平等主義の論陣を張り,エベール派(エベール)の〈非キリスト教化運動〉にも加わった。93年にバブーフと知り合い,テルミドール9日以後にも彼と緊密な関係を続け,総裁政府を倒すためにバブーフらが組織した〈秘密総裁府〉の一員になったが,96年にバブーフらが逮捕されたとき難を免れ,その後は主として歴史や道徳思想の分野で文筆活動を続けた。
執筆者:遅塚 忠躬
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報