トリオ(読み)とりお(英語表記)trio

翻訳|trio

日本大百科全書(ニッポニカ) 「トリオ」の意味・わかりやすい解説

トリオ
とりお
trio

西洋音楽における合奏合唱の概念の一つ。本来は3人で奏せられる、あるいは歌われる音楽のこと。三重奏とか三重唱と訳されることもある。狭義には前者をさすが、そのなかには18世紀中ごろ以後、とりわけ好まれたいくつかの編成があった。ピアノ、バイオリンチェロからなるピアノ三重奏(トリオ)、バイオリン、ビオラ、チェロからなる弦楽三重奏が代表的なものだが、三つの楽器の結び付き方にはその他多くの可能性がある。バロック時代には、二つの旋律楽器(バイオリンやオーボエなど)と通奏低音という三声部からなる楽曲がとくに好まれ、トリオ・ソナタとよばれていた。またメヌエットなどの楽曲は、二つのメヌエットが連続して、最後にもう一度最初のメヌエットが回帰するという形をよくとっていたが、真ん中に挟まれた第二メヌエットはしばしば三声部で書かれていたために、やがてトリオとよばれるようになる。それがさらに転じて、マーチスケルツォなどの中間部を、特別な意味なくトリオと称する習慣も生まれた。

[大崎滋生]

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「トリオ」の意味・わかりやすい解説

トリオ
trio

三重奏あるいは三重唱。3声部によって構成される楽曲ないしその演奏形態をさすが,演奏媒体の組合せ,またこの言葉の使用範囲はきわめて多岐にわたる。楽器編成としての三重奏を意味する以外にも,メヌエットやスケルツォ,また行進曲などの中間部もトリオと呼ばれる。それはかつてバロック組曲のなかでメヌエットが3声部書法をもつ第2メヌエットを伴っていたことに発している。第2メヌエットは,のちにトリオと題されるようになり,古典派ではメヌエット-トリオ-メヌエットという型が特にソナタの第3楽章におかれた。

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