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マンガン鋼 マンガンこうmanganese steel

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

マンガン鋼
マンガンこう
manganese steel

マンガンは鋼のマルテンサイト化の臨界冷却速度を小さくする効果が強く,したがって自硬性を著しくする (→マルテンサイト ) 。そのため,マンガン鋼のマルテンサイト領域の合金は徐冷しても硬化して加工不可能で実用にならない。またマンガンはニッケルと同様に代表的オーステナイト化元素なので,高炭素-高マンガンの合金は全面オーステナイト地になる。したがって実用になる合金は図のパーライト領域の合金Iとオーステナイト地の合金 IIである。前者はジュコール鋼といわれ,実用品は図より低炭素 (炭素 0.1~0.6%,マンガン 0.8~1.5%の範囲) で,よく圧延できるところから橋梁,造船などの構造材,炭素 0.4%以上のものはオーステナイト状態から空冷で硬化し,鍛造用金敷に用いる。後者はハドフィールド鋼という特殊鋼で,鋳造後放置すると炭化物が析出してもろいが,1000~1200℃に加熱し溶体化処理してから水または油中に急冷すると粘りが出て摩耗と衝撃に強いオーステナイト地になる。この処理法はこの鋼種特有で水靭法,油靭法という。この鋼は冷間加工によりマルテンサイトが生じて耐摩耗性,耐衝撃性を増すので,軌道ポイント用レール,砕鉱機顎板,防弾甲板,土木機械などに用いられる。実用品組成は炭素 0.9~1.3%,マンガン 11.0~14.0%である。

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大辞林 第三版の解説

マンガンこう【マンガン鋼】

マンガンを0.5~1.5パーセント程度あるいは10~14パーセント含む鋼。炭素鋼に比べ、低マンガン鋼は機械的強度が大きく、高マンガン鋼は耐摩耗性が大きい。建築・船舶などに広く利用。

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

マンガン鋼
まんがんこう
manganese steel

主要合金元素としてマンガンを添加した鋼。鋼にマンガンを添加すると焼入れ性が向上する。0.3~0.5%の炭素を含む鋼に1%のマンガンを添加したものが機械構造用マンガン鋼で、車軸などの製造に用いられる。0.2%炭素鋼に1.5%以下のマンガンを添加した鋼板は高張力鋼の一種で、溶接により大形建造物の製造に用いられる。鉄は910℃以上でオーステナイトとよばれる相に原子配列が変わる(変態)が、マンガンを添加すると変態温度が低下する。これを利用して、炭素1%、マンガン約12%を含む高マンガン鋼が耐摩耗性強靭(きょうじん)鋼として、削岩機、レールの交差部分(レールクロシング)、無限軌道(カタピラー)などに用いられ、開発当時の商品名「ハドフィールドHadfield鋼」が現在も用いられている。この鋼は、高温から徐冷すると結晶粒界に炭化物が析出して甚だもろくなる。これを防ぐために高温から急冷する処理(水靭処理)が施される。この鋼は、変形すると著しく硬化するので、圧延が困難であり、一般に鋳物として用いられる。加工性を改善するためにマンガンを増し、炭素を減らしたものが非磁性鋼として用いられる。[須藤 一]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

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