ナス科の多年草。英名マンドレークも多用される。紡錘形で,しばしば分枝する多肉質の根を有する。葉は根生して,倒卵形。高さ30cmほどの花茎を出し,通常1個の花を頂生する。花は鐘形,黄緑色で,花冠の長さは約3cm。地中海沿岸に分布し,有毒であるが,薬用植物としても有名である。
マンドラゴラはペルシアあたりからつとに地中海沿岸地方へ入って来たらしい。旧約聖書の《創世記》30章および《雅歌》7章に〈恋ナス〉の名で登場するように,古来媚薬として知られた。ギリシア,ローマでも催淫や催眠の効力をもつとされた。多肉質の根が二股に裂けた形が人間を連想させるため,民間信仰や魔術と結びついて,さまざまな神秘的効能が賦与された。病人の体内に潜む悪霊を除き健康を回復させると信じられたのは,その一例である。財宝をもたらす幸運の呪物として高価で取引されたこともある。一説では,死刑囚が絞首台で漏らした精液から土中に生じるが,奇怪な魔力のためその採取はきわめて危険なので,犬を縄でつないで引き抜かせる方法が取られたという。ドイツ語のアルラウネAlrauneはマンドラゴラの異名で,エーウェルスの《アルラウネ》(1911)は,人工受精で生まれた同名の娘をめぐる怪奇小説として知られる。(図)
執筆者:堀田 満+有田 忠郎
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
…彼は《宝石箱》などあわせて5編の戯曲を書き,ルネサンス時代の喜劇に新風をもたらした。しかし,アリオスト以上に時代に対する風刺を表現した作品《マンドラゴラ》を書いた作家にN.マキアベリがいる。彼は《君主論》を書いた思想家として知られるが,1編の小説と2編の戯曲作品を残した。…
…現在,幻覚薬の作用をもつとして知られている植物はほぼ100種にのぼり,その多くは新大陸で最近になって発見されたものである。ただし旧大陸においてもヨーロッパのマンドレークmandrake(Mandragora officinarum,ナス科)や熱帯アフリカのイボガiboga(Tabernanthe iboga,キョウチクトウ科),中近東のハシーシュ(Cannabis sativa,クワ科),シベリアのベニテングタケ(テングタケ)など,いくつかの植物が知られている。新大陸では,メキシコのオロリウクイ,聖なるキノコ(シビレタケ属,ヒカゲタケ属,モエギタケ属などに属するキノコ),サボテンの1種であるペヨーテ,北アメリカから南アメリカにかけて用いられるナス科のダツラDatura属やソランドラSolandra属の植物,アマゾニア地方で用いられているヤヘーyajé(Banisteriopsis caapi,B.inebriansなど,キントラノオ科)やマメ科のアナデナンテラAnadenanthera属,ニクズク科のビロラVirola属の植物がある。…
…現在,幻覚薬の作用をもつとして知られている植物はほぼ100種にのぼり,その多くは新大陸で最近になって発見されたものである。ただし旧大陸においてもヨーロッパのマンドレークmandrake(Mandragora officinarum,ナス科)や熱帯アフリカのイボガiboga(Tabernanthe iboga,キョウチクトウ科),中近東のハシーシュ(Cannabis sativa,クワ科),シベリアのベニテングタケ(テングタケ)など,いくつかの植物が知られている。新大陸では,メキシコのオロリウクイ,聖なるキノコ(シビレタケ属,ヒカゲタケ属,モエギタケ属などに属するキノコ),サボテンの1種であるペヨーテ,北アメリカから南アメリカにかけて用いられるナス科のダツラDatura属やソランドラSolandra属の植物,アマゾニア地方で用いられているヤヘーyajé(Banisteriopsis caapi,B.inebriansなど,キントラノオ科)やマメ科のアナデナンテラAnadenanthera属,ニクズク科のビロラVirola属の植物がある。…
※「マンドラゴラ」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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