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ミドリイシ Acropora

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

ミドリイシ
Acropora

刺胞動物門花虫綱六放サンゴ亜綱イシサンゴ目ミドリイシ科ミドリイシ属に属するの種の総称。典型的な造礁サンゴで,強固な石灰質の群体を形成する。群体は平らに広がった基盤の上に多数の短い枝が林立するテーブル状,あるいは分岐した長い枝が集まって複雑な樹枝状になることが多い。各個虫が出る口は小さい漏斗形,側莢は半月形。莢肉には単細胞藻類(→単細胞生物)が共生し,褐色や淡紅色,淡青色を呈する。日本の暖流域から西太平洋,インド洋サンゴ礁に多くの種が生息しているが,群体の形態では分類が難しく,正確な種の同定には莢の形態を詳しく調べる必要がある。日本近海ではエンタクミドリイシ(テーブルサンゴA. solitaryensis やエダミドリイシ A. tumida などが普通に見られる。なお,ミドリイシ科 Acroporidaeにはミドリイシ属のほか,塊状のアナサンゴ属 Astreopora や葉片状のコモンサンゴ属 Montipora なども含まれており,それぞれ群体の形が著しく異なることから,ミドリイシ科に属す種全体をミドリイシと総称することはない。(→サンゴ刺胞動物花虫類無脊椎動物

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

ミドリイシ
みどりいし / 石蚕・緑石

腔腸(こうちょう)動物門花虫綱六放サンゴ亜綱イシサンゴ目ミドリイシ科ミドリイシ属Acroporaの海産動物の総称、およびそのなかの1種。イシサンゴ類のなかではもっとも繁栄している属で、世界中の暖海に約150種が分布し、サンゴ礁を形成する造礁サンゴのなかでも、もっとも造礁性の高い仲間である。ムカシサンゴ亜目のなかで、隣接する莢(きょう)の間に発達する骨格であるペリテカをもち、それが多孔性であるミドリイシ科に属する。莢壁の内外に内莢と外莢を欠くことでアナサンゴ類Astreoporaと区別され、中軸個虫をもつことでコモンサンゴ類Montiporaから区別される。生時の色彩は多くは褐色であるが、緑色、緑褐色、青色、紫色などがある。群体の形状も変化に富み、樹枝状、卓状、板状、被覆状、塊状などがある。多くの種では群体上方に枝を出し、その先端に中軸個虫をもち、枝の側面には中軸個虫より小さな側生個虫が全面に密生する。各個虫の莢は骨格表面より円筒状に突出する。莢内には12枚の隔壁があり、そのうち6枚は大きい。主としてインド洋から西太平洋、および西インド諸島の暖海サンゴ礁に分布し、サンゴ礁を形成するイシサンゴ類の最大のグループであり、暖海においては1年間に数センチメートルの成長がみられる。日本では房総半島以南に分布する。この類のうち高い枝状となる種はシカツノサンゴと総称され、卓状となる種はテーブルサンゴと総称される。
 ミドリイシAcropora studeriは、館山(たてやま)湾以南の太平洋からインド洋までのサンゴ礁の浅海にもっとも普通に産する種で、岩礁側面に柄部で付着し、その上面に平板状の群体を形成し、各枝は短く水平方向に伸び、先端はやや斜め上方に立ち上がり、下面では各枝は成長に伴って互いに癒合する。全体としては岩面につく棚状の群体となるところからタナミドリイシの別名がある。近縁種に、卓状の群体となるエンタクミドリイシA. leptocyathusと、クシハダミドリイシA. pectinataが本州中部以南に分布する。エンタクミドリイシは卓状に広がった枝間がほとんど骨格によって埋められるが、クシハダミドリイシは柄部付近を除いて枝間は癒着しない。また、枝状の小塊となるエダミドリイシA. squarrosa、ツガミドリイシA. quelchiや、被覆状のオヤユビミドリイシA. humilis、ナカユビミドリイシA. digitiferaなどが、本州中部以南に分布する。[内田紘臣]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

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