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ムンプスウイルス mumpsvirus

日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

ムンプスウイルス
むんぷすういるす
mumpsvirus

パラミクソウイルス科のウイルス。1本鎖RNA(リボ核酸)ウイルスで、流行性耳下腺(せん)炎ウイルス、おたふくかぜウイルスともいわれる。典型的なパラミクソ科のウイルスで、ビリオン(細胞外で感染性を有するウイルス粒子)は直径150~300ナノメートル(1ナノメートルは10億分の1メートル)で球状。
 ムンプスウイルスは生物活性が高く、赤血球凝集、ノイラミニダーゼ活性(ノイラミニダーゼneuraminidaseは細胞膜上の糖タンパクレセプターからN-アセチルノイラミン酸を外す酵素)、細胞融合誘導活性をもつ。カプシド(ウイルス核酸と結合タンパク質を取り巻くタンパク質殻)の内部には転写に必要な複合体構造がある。ヌクレオカプシドタンパク質(Nタンパク質)、フォスフォタンパク質(Pタンパク質)、ラージタンパク質(Lタンパク質)とウイルスRNAがこれである。また、エンベロープ(外被)にはヘマグルチニン・ノイラミニダーゼhemagglutinin neuraminidaseタンパク質(HNタンパク質)、フュージョンfusionタンパク質(Fタンパク質)をもっている。
 ムンプスウイルス構成タンパク質とその生物活性を示すと次のようである。( )内の数字は分子量を示す。
(1)Lタンパク質(18万~20万ダルトン) RNA合成に関与と考えられている。
(2)HNタンパク質(7万4000~8万ダルトン) 赤血球凝集活性とシアリダーゼ活性に関与する。
(3)Nタンパク質(6万8000~7万3000ダルトン) 宿主(しゅくしゅ)(ウイルスの寄生対象となる生物)細胞よりのヌクレアーゼnucleaseからウイルスRNAを保護する。
(4)Fタンパク質(6万5000~7万4000ダルトン) 細胞融合に関与する。
(5)Pタンパク質(4万5000~4万7000ダルトン) RNA合成に関与する。
(6)Mタンパク質(3万9000~4万2000ダルトン) M=マトリックスmatrix。ウイルス構成分子の集合に関与する(1ダルトンは1.661×10-27キログラム)。
 ムンプスウイルスには血球凝集や溶血反応がみられるが、血球凝集反応は特異抗原で阻止される。また、水溶性の補体結合反応およびエンベロープ抗原がある。56℃、20分で失活化される。発育鶏卵の羊膜腔(こう)でよく増生(増殖)し、HeLa(ヒーラ細胞)、MK(サル腎(じん)細胞monkey kidneyの略)などの細胞培養では多核細胞がみられる。自然宿主はヒトだけである。ヒトやチンパンジーは経口感染や経気道感染によって耳下腺炎や膵臓(すいぞう)炎をおこす。世界各地に分布し、流行する。多少の疑問はあるが、感染によって終生免疫を生ずるとされている。[曽根田正己]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

世界大百科事典内のムンプスウイルスの言及

【流行性耳下腺炎】より

…ムンプスウイルスによる感染症。ムンプスmumpsともいい,また耳下腺がはれて特有の顔つきとなることから,俗に〈おたふく風邪〉ともいう。…

※「ムンプスウイルス」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社日立ソリューションズ・クリエイト世界大百科事典 第2版について | 情報

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