メキャベツ(英語表記)Brussels sprout
Brassica oleracea L.var.gemmifera Zenk.

改訂新版 世界大百科事典 「メキャベツ」の意味・わかりやすい解説

メキャベツ
Brussels sprout
Brassica oleracea L.var.gemmifera Zenk.

アブラナ科の二年草。コモチカンラン子持甘藍),ヒメカンランコモチハボタンなどともいう。ベルギーのブリュッセル地方で古くから栽培されていたが,キャベツから分化したもので,茎が長く直立し,多数の腋芽(えきが)が発達して結球するようになったものである。茎は直立し,50~90cmになる。葉は濃緑色でしわがあり,円形または卵形で長い葉柄があり,脚部に耳状の葉片をつける。葉を多くつけ,葉腋に直径2.5~4cmくらいの小結球をつける。寒さにはキャベツより強く,-5℃にも耐える。結球には20℃以下の低温が必要で,5~13℃で良質のものができる。西欧に普及したのは19世紀になってからで,主産地はフランス,イギリス,ベルギーなどである。最近はアメリカで大面積の栽培が行われるようになった。日本へは明治初年に導入され,当初は大阪,横浜付近で栽培されていた。現在も栽培地域は限定されているが,暖地型の栽培として静岡県遠州地方の冬出しと,高冷地型の長野県茅野市付近の夏秋出し栽培があり主産地となっている。外国種は日本の風土に合わず栽培しにくいので,日本の気候に合った〈長岡交配早生〉などが育成されている。適当な大きさに結球したものから順次摘みとるので,収穫長期間におよぶ。ゆでたり,揚物煮物漬物として利用される。
執筆者:


出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報

日本大百科全書(ニッポニカ) 「メキャベツ」の意味・わかりやすい解説

メキャベツ
めきゃべつ
[学] Brassica oleracea L. var. gemmifera Zenker

アブラナ科の二年草。キャベツの変種で、茎が30~50センチメートルに伸び立って下部を除き中・上部のすべての葉腋(ようえき)に芽がつき、その芽が径2~3センチメートルの小さいキャベツ状に結球する。名は、この結球の状態によるが、別名をコモチカンラン(子持ち甘藍。カンランはキャベツの別名)、またはコモチタマナ(子持ち球菜。タマナはキャベツの別名)などという。ベルギー地方の原産で400年ほど前から栽培され、日本へは明治初期に渡来した。冷涼地に適し、初夏播種(はしゅ)して苗を育て、畑に定植、秋口から順次結球した芽を摘んで収穫する。暖地では秋播(ま)きし、12月から翌春3月ころまで収穫が続けられる。主茎の葉は結球せず、堅くて食用にならない。

[星川清親]

利用

メキャベツは、煮物、油炒(あぶらいた)め、サラダなどの料理に使う。キャベツよりも柔らかく、甘味があり、洋食だけでなく和風料理にも用いられ、近年は需要が増えてきている。成分は生(なま)100グラム中、水分83.9グラム、タンパク質5.5グラム、脂質0.1グラム、糖質7.8グラム、繊維1.4グラム、灰分1.3グラム、無機質は、カルシウム35ミリグラム、リン70ミリグラム、鉄1.0ミリグラム、カリウム580ミリグラム、ビタミン類は、カロチン400マイクログラム、B10.18ミリグラム、B20.22ミリグラム、C150ミリグラムで、キャベツより栄養価が高い。

[星川清親]


出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「メキャベツ」の意味・わかりやすい解説

メキャベツ(芽甘藍)
メキャベツ
Brassica oleracea var. gemmifera; Brussels sprouts

アブラナ科の越年草。ベルギー地方の原産で,日本には明治初期に渡来した野菜。分類学上はキャベツと母種を同じくする別変種とされる。葉のつけ根の側芽が小さな球形に結球し,これを食用にする。茎は太く高さ 1mあまりになり,葉は茎上に束生し倒卵形で霜のように白粉をふいている。春に総状花序をつけ,アブラナに似た黄色の十字状花を開く。コモチカンラン,コモチタマナとも呼ばれ,静岡県が主産地。キャベツよりも軟らかく甘みがある。

出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報

百科事典マイペディア 「メキャベツ」の意味・わかりやすい解説

メキャベツ

コモチカンラン,ヒメカンランとも。ヨーロッパ原産のアブラナ科の一〜二年草。キャベツに近縁。高さ60〜90cm。長い葉柄があり,葉面にはしわがある。各葉腋に腋芽をつけ,2〜4cmの小球を結ぶ。これをゆでて肉料理の添えものやスープ,シチューの実などとして食用。

出典 株式会社平凡社百科事典マイペディアについて 情報

栄養・生化学辞典 「メキャベツ」の解説

メキャベツ

 [Brassica oleracea (gemmifera group)].子持カンランともいう.フウチョウソウ目アブラナ科アブラナ属に属する.小さいキャベツのような野菜で,まるごとゆでて食用にする.

出典 朝倉書店栄養・生化学辞典について 情報

今日のキーワード

プラチナキャリア

年齢を問わず、多様なキャリア形成で活躍する働き方。企業には専門人材の育成支援やリスキリング(学び直し)の機会提供、女性活躍推進や従業員と役員の接点拡大などが求められる。人材の確保につながり、従業員を...

プラチナキャリアの用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android