日本大百科全書(ニッポニカ) 「メチルセルロース」の意味・わかりやすい解説
メチルセルロース
めちるせるろーす
methyl cellulose
セルロースエーテルの一つ。セルロースのヒドロキシ基(-OH基)の一部をO-メチル化してメトキシ基(-OCH3基)にかえた化合物である。メチル化されていないセルロースは水に溶けないが、メチル化してヒドロキシ基を減らすとヒドロキシ基間の水素結合が弱くなって水溶性になるので、多くの用途が開けてくる。
メチルセルロースは、セルロースを水酸化ナトリウム水溶液および硫酸ジメチルと処理してメチル化するか、アルカリセルロースを加圧下で塩化メチルと処理する方法により合成される。セルロースがもつ全ヒドロキシ基のうち27~32%がメトキシ基になっているものは水溶性であり、38~43%のものは有機溶媒に可溶である。
糊(のり)剤、粘化剤、エマルジョンの安定剤、布のサイズ剤などに用いられる。人体に無毒であるので、乳化・保水などの目的で食品添加物として用いられるほか、化粧品、医薬にも配合されている。
[加治有恒・廣田 穰 2016年11月18日]