ギリシア中部,ピンドス山中にある修道院群。14世紀に,ピニオス川の谷間からそそり立つ絶壁に開いた洞窟に世俗を避けて宗教的瞑想と祈りの生活をする僧たちが住んだのが始まりで,最盛期には13の修道院があった。あえて峻険な近づきがたい土地に造られたため,規模はどれも決して大きくはなかったが,通常の教会組織からは独立し,ときには亡命者をかくまったりもした。修道院はみな断崖の中腹ないし上にあり,いまは山腹に道もつけられたが,かつては20mから40mを超える長い梯子(夜は引き上げられる)や,先端に網をつけたロープで人をつり上げる一種の巻上機などに頼るほか接近の手段はなかった。18世紀以降は衰退し,現在は数院に修道士と修道女あわせて30人ほどが住むにすぎない。
執筆者:池澤 夏樹
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中部ギリシアのテッサリア地方にある岩山。比高50メートル以上も切り立った灰色の巨岩群の上に建てられたギリシア正教の修道院の奇観で知られる。14世紀前半に俗世と戦乱を避けた修道士たちが共同生活を始め、16世紀なかばの最盛期には13の修道院と約20の僧庵(そうあん)を数えたが、18世紀以降衰微し、今日では大メテオロンほか数個の修道院に数十人の修道士、修道尼が住んでいるにすぎない。なお、1988年に世界遺産の複合遺産(文化、自然の両方の価値がある遺産)として登録されている(世界複合遺産)。
[清永昭次]
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