翻訳|Maryland
アメリカ合衆国大西洋岸中部の州。略称Md.。独立13州の一つで,連邦加入1788年,7番目。面積2万5314km2,人口577万3552(2010)。州都アナポリス,最大都市ボルティモア。州名はイギリス国王チャールズ1世の王妃ヘンリエッタ・マリア(メリー)にちなむ。歴史的には南部の一州に数えられるが,現在は大西洋岸中部の一州とみなすことが多い。東半は複雑な海岸線の出入りが多いチェサピーク湾をはさんでコースタル・プレーン(海岸平野)がひろがるが,西半はアパラチア山脈およびピードモント台地からなり,西端にアレゲニー山脈が走る。湿潤温暖気候であるが,冬には雪が降ることもある。州の大半はアメリカ・メガロポリスに属し,ニューヨーク~ワシントン間の交通幹線軸が通っている。工業では食品加工,電気・電子機器,金属などがボルティモアを中心に発達している。農産物にはタバコ,トウモロコシ,大豆などがあり,牛,豚,鶏の飼育も行われる。チェサピーク湾はカキ,ハマグリなど海産物も豊富で,多くのリゾートにシーフード・レストランがみられる。首都ワシントンに隣接しているため,郊外住宅地の発達が目ざましく,公務員の比率が高い。州都アナポリスは合衆国海軍兵学校の所在地。1608年にイギリス人J.スミスが探検してから白人が現れるようになった。1631年にはチェサピーク湾内のケント島に毛皮の交易所が建てられ,入植者がつづいた。
執筆者:正井 泰夫
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
アメリカ合衆国東部の州。面積2万7394平方キロメートル、人口529万6486(2000)。北はペンシルベニア州、東はデラウェア州、南はポトマック川を境界にしてバージニア州、西はウェスト・バージニア州に接し、東部にはチェサピーク湾が深く入り込んでいる。独立13州の一つ。州都アナポリス。地形的にはボルティモアとワシントンDCを通るフォール・ライン(滝線)を境界にして、東部の海岸平野と西部のピードモント・アパラチア山地に分けられる。東部の海岸にはチェサピーク湾の多くの入り江がある。気候は東部では海洋性で湿潤・温暖であるが、西部ではすこし大陸性気候の影響を受け、冬の気温が下がる。チェサピーク湾の奥に位置するボルティモアの年降水量は1500ミリメートル、平均気温は1月で0.6℃、7月で25℃である。チェサピーク湾岸では漁業が盛んで、とくにカキの養殖が有名である。18世紀にチェサピーク湾岸の港で行われていた木造船の建造は、その後、大規模な造船業に発達した。そのほかにも、金属、食品加工、輸送用機器、電気機械、精油、化学製品、衣服、出版・印刷などの多様な工業が発達している。工業は州経済の第一の部門であるが、ブロイラー、肉牛の飼育や、トウモロコシ、タバコ、大豆、野菜栽培などの農業も盛んである。
1631年にチェサピーク湾のケント島に最初の定住集落として毛皮交易所が建設された。1634年にイギリス人によってセント・メリーズに植民地が建設され、その後、開拓地が西に拡大した。18世紀前半までに植民地経済の中心はプランテーションによるタバコ栽培となり、多数の奴隷も輸入された。南北戦争時には奴隷州にもかかわらず北軍に属したが、南北の境界に位置していたので州民は両軍に分かれて戦った。現在も当時の激戦地跡が多く残っている。
[菅野峰明]
出典 株式会社平凡社百科事典マイペディアについて 情報
10/29 小学館の図鑑NEO[新版]動物を追加
10/22 デジタル大辞泉を更新
10/22 デジタル大辞泉プラスを更新
10/1 共同通信ニュース用語解説を追加
9/20 日本大百科全書(ニッポニカ)を更新
7/22 日本大百科全書(ニッポニカ)を更新