メントール(英語表記)menthol

翻訳|menthol

デジタル大辞泉 「メントール」の意味・読み・例文・類語

メントール(〈ドイツ〉Menthol)

薄荷油はっかゆ主成分モノテルペンアルコールの一。特有の爽快そうかい香味をもつ無色針状結晶メンソール

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精選版 日本国語大辞典 「メントール」の意味・読み・例文・類語

メントール

  1. 〘 名詞 〙 ( [ドイツ語] Menthol ) ハッカの全草を水蒸気蒸留して得た油を冷却し、析出した固形物。化学式 C10H20O 爽快な香りがある。鎮痛・鎮痒・清涼剤として使用。メンソール。

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改訂新版 世界大百科事典 「メントール」の意味・わかりやすい解説

メントール
menthol



ハッカの葉に含まれる精油の主成分で,いわゆるハッカの芳香成分。ペパーミント様の清涼感のある香気を有する。ニホンハッカの場合はハッカ油の70~90%がメントールである。メントールは化学式C10H20Oの単環式モノテルペンアルコールで,3個の不斉炭素をもつため四つの立体異性体を有し,それぞれが光学活性体をもつため,ラセミ体を含めて12の異性体が存在する。芳香成分として重要なのは天然に産するl-メントールで,ハッカ脳ともいう。融点43℃,沸点216.5℃であるが,常温で容易に昇華する。比旋光度=-49°(エチルアルコール溶液)。六角形の針状またはプリズム状結晶。水に微溶,アルコールに可溶である。メントールの製法としては,天然物ではまずハッカ油(取卸油)を抽出し,これを冷却して粗結晶とし,再結晶して精製する。合成する場合はメントンプレゴン,ピペリトン,チモール,イソプレゴールなどのケトンの水素添加を行う。メントールは含有する微量の異性体,不純物により芳香が異なり,合成品は天然品に劣り,また天然品でもセイヨウハッカのほうがニホンハッカより良質とされてきたが,最近は合成品の品質も改善されている。医薬品,化粧品,歯磨き,菓子,清涼飲料用等に広く用いられる。
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百科事典マイペディア 「メントール」の意味・わかりやすい解説

メントール

ハッカ油,ハッカ脳の主成分で分子式C1(/0)H2(/0)O。さわやかな香りと味のある昇華性の結晶。融点41.6℃,沸点216℃。水に難溶,有機溶媒,濃塩酸に易溶。医薬(鎮痛・防腐・防臭薬),歯みがき,菓子,化粧品などの付香に利用。(図)
→関連項目香料テルペンハッカ(薄荷)ハッカ(薄荷)油

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栄養・生化学辞典 「メントール」の解説

メントール

 C10H20O (mw156.27).

 香料として使われる化合物.ハッカの油からとるほか,合成品もある.

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化学辞典 第2版 「メントール」の解説

メントール
メントール
menthol

[別用語参照]p-メンタン-3-オール

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世界大百科事典(旧版)内のメントールの言及

【局所麻酔薬】より

…これらコカインおよびコカイン代用薬が狭義の局所麻酔薬であり,真性局所麻酔薬とも呼ばれるが,次のようなものも広義には局所麻酔薬に含まれる。すなわち,(1)エーテル,クロロホルムなど本来は全身麻酔薬であるが局所麻酔作用を有するもの,(2)疼痛性麻酔薬 石炭酸(フェノール),メントール,キニーネなど局所に投与すると,初めは知覚神経刺激による疼痛を生ずるが,後に麻痺を起こすもの,(3)寒冷麻酔薬 沸点の低いエーテル,クロロホルム,クロルメチルなど気化熱を奪うことによって局部凍結をきたし知覚を鈍化させるもの,などである。麻酔【福田 英臣】。…

※「メントール」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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