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モントリオール条約 もんとりおーるじょうやく

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知恵蔵2015の解説

モントリオール条約

国際線を運航する航空会社の責任などを定めた、1999年採択の国際航空運送についてのある規則の統一に関する条約(通称モントリオール条約)。2003年に発効し、日本発着のすべての国際航空便で、万一の事故の際に乗客や遺族に支払われる賠償金の上限が撤廃された。国際線の上限額の撤廃は、日本の航空会社が92年に運送約款を改定したのが皮切り。日本は00年に条約を批准し、日本や欧米の航空会社はすでに上限を撤廃していたが、日本に乗り入れる56社のうち21社は「命の値段」について旧条約(通称ワルソー条約)に基づき、280万円から1650万円の上限を設けてきた。日本から外国の航空機で条約に批准していない国に行っても、帰国のチケットを持っていれば新条約が適用される。94年、名古屋空港で中華航空機が着陸に失敗し、乗客・乗員264人が死亡(7人がけが)した中華航空機墜落事故では、中華航空側が自社の上限額を上回る1人当たり1640万円の補償を提示したが遺族側は受け入れず、03年12月の第1審判決は、ワルソー条約が上限額の撤廃条件とする「機長の無謀な操縦」を認定した。

(平栗大地 朝日新聞記者 / 松村北斗 朝日新聞記者 / 2007年)

出典|(株)朝日新聞出版発行「知恵蔵2015」
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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

モントリオール条約
もんとりおーるじょうやく
Convention for the Unification of Certain Rules for International Carriage by Air

国際線を運航する航空会社の運送責任や損害賠償範囲などを定めた条約。国際線運航に関する旧条約・議定書が現代情勢にそぐわなくなっていたため、国際民間航空機関ICAO)が国際ルールの近代化と統合を図る目的で1999年5月にモントリオールで作成したことから、こうよばれる。正式名称は「国際航空運送についてのある規則の統一に関する条約」で、2003年11月に発効した。乗客が死亡した場合の賠償上限を撤廃し、航空会社に過失がない場合でも2015年3月時点で11万3100SDR(SDRは国際通貨基金特別引出権、邦貨換算約1800万円)まで賠償するよう義務づけている。旅客や航空会社の国籍とは関係なく、出発地と到着地がともに加盟国であれば条約は適用される。これにより、乗客の居住地で裁判を起こすことも可能になった。2015年3月時点で109か国が批准しており、日本は2003年(平成15)の発効と同時に加盟した。
 国際線の乗客・手荷物・貨物の賠償については、1929年作成の国際航空運送条約(ワルソー条約)や1955年作成のヘーグ議定書が国際的基準とされてきた。しかし、いずれも航空会社の保護や国際線の普及を目的とした国際ルールで、乗客が死亡した場合の賠償額が25万フラン(約280万円)に低く設定されるなど、時代にあわなくなっていた。1995年(平成7)に名古屋空港で起きた中華航空機墜落事故(乗客・乗員264人死亡)では賠償額の低さが問題となり、モントリオール条約が結ばれる下地となった。モントリオール条約では、乗客が死亡または傷害を受けた場合、航空会社の過失の有無にかかわらず賠償され、航空会社が過失のなかったことを証明できなければ、さらに所得などに応じて賠償額が上積みされる。このほか手荷物や貨物の損害、乗客の延着についても賠償額を定めている。[矢野 武]

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世界大百科事典内のモントリオール条約の言及

【航空機】より

…民間航空機は,外国領域において,その国の航空規則などの法令に従わなければならない。外国領空の民間航空機内での犯罪につき,1963年の〈航空機内で行なわれた犯罪その他ある種の行為に関する条約〉(東京条約)により登録国の裁判権が認められ,その後ハイジャックや航空機の安全に対する不法な行為に関するハーグ条約(1970採択)やモントリオール条約(1971採択)が成立した。【西井 正弘】。…

【ハイジャック】より

…ただ政治犯と自国民の不引渡しには問題を残している(犯罪人引渡し)。 また71年に採択され翌々年に発効したモントリオール条約は,航空機,航空施設の破壊や爆発物の持込み,その虚偽の通報をも犯罪として防止しようとする点でより広く民間航空の安全を確保しようとしているが,ハイジャックの防止からも実効性を補完させている。 日本は,1970年のよど号事件を契機に東京条約を批准し,その国内的措置として〈航空機の強取等の処罰に関する法律〉を制定し,のちハーグ条約を批准した。…

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