ヤイトムシ(読み)やいとむし(英語表記)whip-scorpion

改訂新版 世界大百科事典 「ヤイトムシ」の意味・わかりやすい解説

ヤイトムシ (灸虫)
whip-scorpion

蛛形(ちゆけい)綱ヤイトムシ目(裂甲目Schizomidaに属する節足動物の総称きゅうをすえるときのもぐさの塊のような突起物が腹端にあるのでこの名がつけられた。体長4~7mm,一見小型のクモに似るが,歩きかたがゆっくりしており,触れると後方にすばやく跳躍する。落葉の下や洞穴にすみ肉食性。熱帯亜熱帯に180種がおり,日本では琉球諸島小笠原群島に4種が生息する。
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日本大百科全書(ニッポニカ) 「ヤイトムシ」の意味・わかりやすい解説

ヤイトムシ
やいとむし / 灸虫
whip-scorpion

節足動物門クモ形綱ヤイトムシ目ヤイトムシ科Schizomidaeの陸生動物の総称。この科には約45種が知られ体長は3~7ミリメートル。目はない。日本には、台湾にもいるヤイトムシSchizomus sauteri沖縄本島にすむ。腹部に続いて1~4の環状節からなる短い尾部があるので、それのないクモやダニのようなクモ形類や、長い尾部のあるサソリサソリモドキなどのクモ形類から容易に区別される。ヤイトムシという名の由来は、腹端にあるこの短い尾状物を灸(きゅう)(やいと)の跡に見立てたものである。夜行性で、昼間は落ち葉や石下などの暗湿な所に隠れ、行動はすばやく、小形の節足動物を食べているらしい。小笠原(おがさわら)諸島にも近似種のサワダムシが発見されている。

[森川国康]

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百科事典マイペディア 「ヤイトムシ」の意味・わかりやすい解説

ヤイトムシ

節足動物門蛛形(ちゅけい)綱ヤイトムシ目の総称。熱帯・亜熱帯に広く分布し,日本に数種,世界から約180種が知られる。体長2〜7mm。湿度が高く,暗い場所を好み,落ち葉の下や石の下,洞窟内などで生活する。日本産は沖縄のウデナガヤイトムシ,小笠原のサワダムシなど。

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