ユルリ島（読み）ゆるりとう

日本歴史地名大系

ユルリ島
ゆるりとう

• 北海道：根室支庁
• 根室市
• ユルリ
• ユルリ島

根室半島の太平洋側にある周囲七キロ、面積二〇二ヘクタールの根室市昆布盛（こんぶもり）に属する無人島。花咲（はなさき）港から約七・五キロ、昆布盛漁港から約二・六キロに位置し、周囲は海食崖。島全体は標高三〇―四〇メートルほどの平らな台地で、中央部は湿地。東隣にモユルリ島がある。天保郷帳の「東地嶋々之分」に「子モロ持場」のうちとしてユルリとみえる。近世には千島やネモロへ往来する船の風待ちの島であった。「蝦夷拾遺」に「キイタツプの沖十町余に有り、周囲一里余、蝦夷家及び産物なし。商船此島に泊ることあり」と記され、「地名考并里程記」にはハナサキの「海岸より凡一里程沖の方にユルリ島といふあり。諸廻船風待をなして、下り船は瀬戸の難所を通るなり」とある。「蝦夷巡覧筆記」に「沖ニ島二ツ有リ。ユルリト云島ニ大船ノ澗有リ。ユルノ先ニトムシリト云島有リ。ユルリトムシリノ澗、セトニテ船難所ナリ」と記される。また「蝦夷日誌」（三編）には「北岸ニは深き処凡七八尋より十尋位の処も有。又浅き処に至りては暗礁多くして甚懸り船も睦ケ敷処なれ共、此島の勝手をよく知り居ける水主どもなれば、何恐るゝ気色も無して泊りける。

出典　平凡社「日本歴史地名大系」

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典

ユルリ島
ユルリとう

北海道東部，根室半島の南岸沖にある小島。根室市に属する。無人島で，面積約 1.7km²。最高点 43.1m。全島が 20～40mの海食崖で囲まれた隆起海食台地。島の周囲はコンブ，ギンナンソウなど海草類の好漁場。北東方のモユルリ島とともに，エトピリカ，チシマウガラスなど北方系海鳥の繁殖地としても知られる。

出典　ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典

デジタル大辞泉プラス

ユルリ島

北海道根室半島南岸の、花咲岬の沖合い7.5kmに位置する無人島。「緩島」の表記もある。

出典　小学館