ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ユーグ」の意味・わかりやすい解説
ユーグ
Hugues le Grand, Comte de Paris
[没]956.6.16/17.
フランスの有力諸侯の一人。パリ伯。ロベール家 (カペー家の前身) 出身。西フランク王ロベール1世の子,ユーグ・カペーの父。セーヌ川とロアール川の間に広大な地を領有した。諸侯勢力が競合していたため父王を継承できず,936年カロリング家の遺児ルイ4世 (海外王)をイングランドから呼戻して即位させ,937年以降みずからはフランス公と称した。王が実権を掌握しようと努力したため,以後生涯王との抗争に終始した。初めオットー1世 (大帝) の支持を得てランスを支配下に収めたが,大帝がルイ4世と結んでからは,ノルマンディー公と王との敵対を利して王を捕え,釈放の条件としてカロリング家の地盤の一角であるランを獲得した。しかし,教会から破門され,ラン,ランスとも奪回され,以後はブルゴーニュを勢力下に収めることに全力を尽し,成功した。彼自身が王位にのぼることはなかったが,カロリング朝の解体とカペー朝成立前の時期を代表する君侯であった。
ユーグ[アルル]
Hugues d'Arles
[没]947
カロリング朝時代のイタリア王 (在位 926~946) 。アルル伯ロタールの子。 898年以降アルル伯。ブルグンド王ルドルフ2世を破り,パビアでイタリア王となった。教皇庁で勢力をふるったマロツィアと結婚し (932) ,西ローマ皇帝の地位をねらったが失敗。
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