デジタル大辞泉
「ライフサイクル」の意味・読み・例文・類語
ライフ‐サイクル(life cycle)
1 生活環。
2 人間の一生をいくつかの過程に分けたもの。
3 ある製品が開発され、発展普及し、やがて新製品の開発によって衰退する一連の過程。製品の一生。
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ライフ‐サイクル
- 〘 名詞 〙 ( [英語] life cycle )
- ① 動物が受精から始まり次の代の子を産むまでの過程全体を通したもの。生活史。生活環。
- ② 人の一生を、結婚を起点としていくつかの周期に分けたもの。人生の周期。
- ③ 商品が市場に出てから売れ、次には売れ行きが落ちるという過程。商品の寿命。
- [初出の実例]「薬も商品の常として、ライフ・サイクルをもち」(出典:保健薬を診断する(1968)〈高橋・佐久間・平沢〉序章)
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ライフ・サイクル
らいふさいくる
life cycle
もともとは人間の生活周期をさし、人間の一生にみられる規則的な繰り返し現象に着目し、結婚に始まる家族の形成→膨張(拡大)→縮小→消滅という過程を周期的にとらえる考え方のことである。家族の経済生活と以上の過程との間には密接な関係があり、それぞれの段階に応じて家族構造や消費構造などに特色がみられる。この考え方は、その後家族社会学、家政学、住宅学などに応用され、家庭の長期的な生活設計や福祉計画立案のために活用されるようになった。すなわち、生涯の各段階において、経済的、社会的な不安を除くための十分な体系的保障を与え、それによって各人の自助の営みを容易にしようとする生涯設計のための計画がそれである。それは、高齢者、老人、身障者などの生活安定を保障し、さらに世代間の相互扶助の関係を家庭と社会の双方で再構築し、同時に教育や就業の機会を与え、国民各自の自助努力を積極的に促進しようとするものである。
[伊藤善市]
ライフ・サイクルをプロダクト・ライフ・サイクルに用いる場合もある。これは製品の寿命をさす。いかなる商品もライフ・サイクルという現象を宿命的にもち、市場への導入、発展、成熟、衰退の四段階をたどるものであり、一定の時期を越えると流行としての魅力と機能の新奇さが切り崩されるのが常である。第二次世界大戦後、技術革新と情報化の進展に伴って、新製品の開発や消費者選好の変化が加速化したため、商品のライフ・サイクルが短縮化するようになった。そのため、企業の盛衰、産業の新しい分野への進出が加速化し、競争者の新規参入が容易となった。したがって、企業の側では消費者の動向を先取りし、商品の寿命を的確に把握し、衰退期に達する前に、新商品を開発することが不可欠となってきた。このことは、情報化社会においては、生産とは物をつくることではなく価値をつくることである、ということを示すものである。
また、これとは別に、1990年代後半以降、商品が環境に与える影響を、資源の採取、原材料の加工、商品の生産、消費、廃棄など各過程ごとに評価し、より環境負荷の小さい方法や原料を選択していこうという考え方が一般的になりつつある。この考え方をライフ・サイクル・アセスメントとよぶ。
[伊藤善市]
『今居謹吾著『ライフサイクルの理論と実際』(1980・日本能率協会)』▽『P・カイロ著、川島誠一郎訳『ライフサイクル 生と死の進化学』(1982・どうぶつ社)』▽『高橋隆一編著『新製品開発のプロジェクトマネジメント』(2000・同友館)』▽『橘木俊詔編著『ライフサイクルとリスク』(2001・東洋経済新報社)』
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ライフサイクル
life cycle
生活構造の繰返しのなかに示される時間的な周期的変化,生活周期ともいう。普通,生活周期は家族の成立時点から消滅時点までをみる場合に使われるので家族周期ともいう。しかし,家族の生活構造を日,月,年などの時間的過程で区切って調べられる場合や,個人の生活史ないし個人の時間的過程で区切られた生活構造を調べる場合もある。こうした生活周期を問題にした古典的研究として,イギリスの B.S.ロウントリーの『貧乏研究』 Poverty (1901) や『貧乏と進歩』 Poverty and Progress (41) が有名である。またライフサイクル計画 (生涯設計計画) という形で個人や家庭のライフサイクルの将来を予測して,それに見合う生活設計や準備をすること,あるいは国や地方自治体の福祉政策のうえで,国民のライフサイクル上の各段階に見合う施策を立てるように計画づくりをすることなどが強調されるようになってきている。
ライフサイクル
life cycle
本来は人間など生物に関する生命や細胞などの循環現象 (→生活環 ) をさすものであるが,ビジネスの分野においては,プロダクト・ライフサイクルの略ないしプロダクト・サイクルの意味として,もっぱら市場における商品の導入,普及,減退の過程をいう。商品のライフサイクルは,一般的に技術や機能などの商品のもつ実質的な価値を強調するものは比較的長く,デザイン,色彩,包装,スタイルなどの感覚的な価値を中心とした商品の場合に短いとされている。
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家庭医学館
「ライフサイクル」の解説
らいふさいくる【ライフ・サイクル】
ライフ・サイクル(人生周期)あるいはライフ・ステージは、おもにアメリカで活躍した精神分析学者E・H・エリクソンによる人格発達理論のことばで、人は誰でも一生のいくつかの時期に、それぞれ乗り越えるべき課題があるというものです。いろいろな精神障害も、環境や社会と関連しておこりやすい人生の節目がだいたい決まっています。
乳幼児期は発達障害や自閉症(じへいしょう)、学童期は登校拒否(とうこうきょひ)、行為障害(こういしょうがい)、てんかんなど、思春期や青年期には統合失調症、境界例(きょうかいれい)、摂食障害(せっしょくしょうがい)、人格障害(じんかくしょうがい)、神経症(しんけいしょう)など、成人期は気分障害(きぶんしょうがい)、神経症、アルコールや薬の中毒、パラノイアなど、老年期には認知症が代表的なものです。
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ライフサイクル
商品が市場に投入されてから姿を消すまでの流れを表すもの。もともとは、人生の経過を円環に描いて説明したもので、商品を生物にたとえた表現。ライフサイクルは、「導入期」→「成長期」→「成熟期」→「衰退期」という4つの段階をたどる。また、成長期を「成長前期」と「成長後期」に分けたり、成熟期と衰退期の間に「飽和期」を加えるなど、5段階や6段階のサイクルに分類するケースもある。ライフサイクルという考え方は商品だけではなく、情報システムや運用管理、改善計画など、最近では多くのビジネス現場で使われるようになってきた。
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流通用語辞典
「ライフサイクル」の解説
ライフサイクル【life-cycle】
生物の一生の過程を、誕生から成長、そして衰退へと描く周期のこと。このサイクルがマーケティングにも適用されるようになった。たとえば、人間を個人と社会関係との流れの中でとらえた家族周期(ファミリー・ライフサイクル)、商品開発から廃棄にまでのプロダクト(製品)ライフサイクルなどである。市場導入期、市場形成期、市場成熟期、市場衰退期というように製品・商品にもライフサイクルがあるという考え方。取扱商品が、いま、ライフサイクルのどのステージにあるかを判断することがマーケティングにとって重要な課題になる。
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ライフ・サイクル【life cycle】
一般には、人の一生をライフ・ステージに分け、サイクルとして生活を把握すること。各ステージがもつ固有の生活スタイルに注目しプロモーションを行うため顧客をライフ・スタイルで捉えるマーケティング。広告業界では、広告に対して前向き(ポジティブ)な反応が顕著である期間。広告や広告キャンペーンには、広告の紹介から始まってその広告が陳腐になりポジティブ反応をもはや引き出せなくなって終わりになるというライフ・サイクルがあると言われている。
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ライフサイクル
生命は生まれては死んでいくということを繰り返して世代が交代していくが,このような生命の周期性のある現象.
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世界大百科事典(旧版)内のライフサイクルの言及
【家族】より
…提供される財貨やサービスの対価を家族が支払っているのが,その証拠である。
[ライフサイクル]
家族のライフサイクルとは,家族のいわば一生にみられる規則的なくり返し現象のことである。人は一生のうちに,模式的には一つの定位家族で育ったのち一つの生殖家族をつくるとともに,家族自身が成員の加齢に伴って一定のコースをたどる。…
※「ライフサイクル」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」