ライフサイクルアセスメント(読み)らいふさいくるあせすめんと(英語表記)life cycle assessment

デジタル大辞泉 の解説

ライフサイクル‐アセスメント(life cycle assessment)

商品環境に与える影響を、資源採取から、加工販売消費を経て廃棄にいたるまでの各過程ごとに評価する方法。環境への負荷のより小さい生産方法や代替原料・代替製品を選択していこうという考え方根底にあり、国際標準化機構ISO)により国際的なガイドラインが策定されている。ライフサイクルアナリシス。LCA

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日本大百科全書(ニッポニカ) の解説

ライフ・サイクル・アセスメント
らいふさいくるあせすめんと
life cycle assessment

商品の環境に与える影響を、資源の採取、原材料への加工、商品の生産、運搬、販売、消費、資源化、廃棄までの各過程ごとに評価し、より環境負荷の小さい生産方法や、代替原料、代替製品を選択していこうという考え方。略称LCA。製品の環境配慮設計や環境ラベル等に環境負荷量を表示する「見える化」等の手法としても重要である。LCAは国際標準化機構(ISO)において規格が策定されている(1997年6月のISO14040~)。これによると(1)目的および調査範囲の設定、(2)ライフ・サイクル・インベントリ分析(各プロセスごとの資源エネルギーの投入量と廃棄物等の環境負荷物質排出物量を計算し、明細書をつくる)、(3)ライフ・サイクル影響評価(インベントリ結果による環境負荷の評価)、(4)ライフ・サイクル解釈、などの手順が示されている。LCAは最終的に結果を評価、解釈するが、その基準は確立されているとはいえず、まだ技術的な課題は残されている。

[山本耕平]

『石谷久・赤井誠監修『ライフサイクルアセスメント』(2001・産業環境管理協会)』

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 の解説

ライフサイクル・アセスメント
life cycle assesment; LCA

ある製品が製造されてから廃棄されるまで,外部の環境にどのような影響を与えるかを評価する方法。製品の一生を,製造-使用-廃棄の各段階に分け,環境への影響を数値で総合評価する。具体的には,投入されるエネルギー量,各種資源使用量,排出する窒素酸化物二酸化炭素量など 10項目程度が数値として採用されている。アメリカでは一部メーカーが自主的に実施しているが,日本では日本生活協同組合が積極的に取り組んでいる。建築物,自動車などについて国立環境研究所が大学と共同で LCAを実施した。複写機,コンピュータ端末機についてもメーカーが行なった例がある。国際標準化機構 (ISO) が評価方法の統一に取り組んでいる。

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ASCII.jpデジタル用語辞典 の解説

ライフサイクルアセスメント

ある製品の環境負荷を総合的に評価する方法。その製品に関する資源の採取から製造、使用、廃棄、輸送などすべての段階を通しての環境影響を定量的、客観的に評価する手法。LCAと略称される。従来は、製品の使用や廃棄に伴う有害物質の排出の有無、処理の容易性など一定のプロセスだけを評価範囲としていたため、環境への負荷の低減に寄与しない製品が生産されがちだった。最近は、国際標準化機構(ISO)でも枠組みを規格化しており、ISO14040がLCAの一般原則の規格となっている。

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知恵蔵 の解説

ライフサイクル・アセスメント

製品を、製造―使用―廃棄/再利用のそれぞれの段階ごとに投入エネルギー量、材料使用量、二酸化炭素排出量、環境汚染物質排出量などを分析し、環境への影響を総合的に評価する方法。自動車では、二酸化炭素の発生量が使用段階で全体の排出量の7割を占めるため、燃費が重視される。住宅では、断熱・気密化工事で二酸化炭素の排出が増えるが、使用中に暖房需要を削減でき、全体では排出量が削減できて、省エネ建築の意義がよくわかる。

(槌屋治紀 システム技術研究所所長 / 2007年)

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