病気や経済的理由などによるのでなく,なんらかの心理的理由により不安や緊張を感じて子どもが登校を拒むこと。アメリカでは,すでに1941年に〈学校恐怖症〉の名のもとに最初の研究報告がなされているが,日本では60年ころをさかいにしてこの問題が表面化しはじめ,それ以降急速に増えてきている。当初は〈学校恐怖症〉の名の示すとおり,神経症の一種と考えられていたが,今日では必ずしも神経症とはとらええない例も数多くみられる。とくに日本においては,60年代以降の学校や家庭・地域の教育環境の変化や,そこでの子どもの発達のあり方との関連を無視できない。すなわち,受験競争の激化,子ども集団や遊び場の解体,父親不在,母子密着,過保護などによって,子どもの自我(自主性,自律性)発達が阻害され未熟になっていることが基盤になって,この問題が多発していることが指摘されてきた。
しかし近年では,競争原理と管理主義が学校を支配するなかで,学校生活が子どもにとって〈高速道路〉を走らされるような息苦しさを覚える場になってきていることが,登校拒否の増加の背景としてより強く認識されるようになってきている。そのような認識は1992年の学校不適応対策調査研究協力者会議の報告を受けた〈文部省最終答申〉にも反映されている。それまで登校拒否は特定の資質を持つ子どもの特別な問題だと見られがちであったのに対し,この答申では登校拒否は社会や学校,家庭のさまざまな要因が複合して生じる問題であり,どの子どもに起こってもおかしくない問題だという見方に変化している。
執筆者:高垣 忠一郎
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登校する意思をもちながら登校時になると原因不明の頭痛や腹痛、強い心配、不安などの神経症状に襲われて登校を拒む状態で、1970年ごろからは登校拒否とよばれていたが、その後不登校という呼称が用いられるようになり、文部省(現文部科学省)も1999年より不登校と改称した。
[台 利夫・編集部]
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… 小学校教育においてこのところ重視されるようになったのは中学年(三,四年生)の指導である。この時期は学力格差が著しくなり,登校拒否や非行の件数も増大するなど,いわゆる〈落ちこぼれ〉が目だつためである。発達心理学的にみると,9,10歳ごろは抽象的思考への移行がはじまるとともに,ある程度まで他者(仲間)を意識しつつ,それとの対比で自己を見つめはじめる時期である。…
※「登校拒否」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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