ラスパルマス(その他表記)Las Palmas

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ラスパルマス」の意味・わかりやすい解説

ラスパルマス
Las Palmas

正式名称はラスパルマスデグランカナリア Las Palmas de Gran Canaria。アフリカ大陸北西岸沖,カナリア諸島中部のグランカナリア島にある港湾都市スペインの島嶼県ラスパルマス県の県都で,同諸島最大の都市となっている。 1478年島の北東岸に建設され,西のテネリフェ,ラパルマ両島に対するスペインの征服戦争の基地として利用され,のちスペイン本国とアメリカ大陸の植民地を結ぶ航路上の重要な基地となった。 1883年大規模な港湾が建設されてから本格的に発展しはじめ,海岸線に沿って新市街が形成された。現在大西洋航路の船舶の主要寄港地で,給油施設が完備。日本漁船の遠洋漁業の給油地としても利用される。主要積出品は,島に産するバナナ,トマトなどの農産物冬季の温暖な気候と美しい砂浜に恵まれ,観光業も重要な産業となっている。市内には 15世紀にさかのぼる古い建築物や,先住民グアンチェ族の遺物を集めた博物館などがある。南郊に国際空港がある。人口 34万 2030 (1991推計) 。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「ラスパルマス」の意味・わかりやすい解説

ラス・パルマス
らすぱるます
Las Palmas de Gran Canaria

西アフリカ沖合い約100キロメートルの大西洋上にあるスペイン領カナリア諸島最大の都市。正称シウダド・レアル・デ・ラス・パルマスCiudad Real de Las Palmas。諸島東部の島々で構成するラス・パルマス県の県都。人口35万4863(2001)。グラン・カナリア島北東の海岸段丘上に位置する。1478年カスティーリャの軍事拠点として建設され、すでに15世紀末には行政と港湾機能の面で重要な町であった。19世紀末にはラス・パルマス港の隣にルス港が完成し、大西洋航路の寄港地として栄えた。現在は農・水産物加工、造船などの工業が立地し、トマトやバナナ、水産加工品などを輸出する。温和な気候、美しい旧市街などにより観光・保養客が多数訪れ、航空路の便もあるが、両港の利用旅客数および船舶数はスペイン第3位である。ラス・パルマス港は漁港としても重要で、ビーゴに次ぐ水揚げ高をあげている。

田辺 裕・滝沢由美子]

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改訂新版 世界大百科事典 「ラスパルマス」の意味・わかりやすい解説

ラス・パルマス
Las Palmas

スペインのカナリア諸島,ラス・パルマス県の県都。人口37万8628(2005)。グラン・カナリア島の北東部に位置し,熱帯性気候の保養地自由港で,国際的な遠洋漁業の基地でもある。第1次産業と観光業に依存する不均衡な経済構造のため貧富の差が拡大している。貧困や,NATOの南大西洋軍事戦略に一方的に組み込まれたことなど,国政に対する不満が原因で,近年アフリカ統一機構の支援を受けた分離独立運動,テロ活動が起こっている。
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百科事典マイペディア 「ラスパルマス」の意味・わかりやすい解説

ラス・パルマス

アフリカ北西岸,スペイン領カナリア諸島最大の港湾都市。グラン・カナリア島北東岸にある。野菜,果物,ブドウ酒を輸出する。世界的な観光地で市の財源の大部分は観光収入である。1492年コロンブスが寄港。38万1271人(2011)。

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世界大百科事典(旧版)内のラスパルマスの言及

【カナリア[諸島]】より

…テネリフェ島にある活火山テイデは標高3710mで,スペインの最高峰。カナリア諸島は行政上,東半分のラス・パルマス(主都ラス・パルマス)と西半分のサンタ・クルス・デ・テネリフェ(主都サンタ・クルス・デ・テネリフェ)の2県に分かれる。気候は年間を通じて温暖だが,降水量はとくに東部諸島で少ない。…

※「ラスパルマス」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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