改訂新版 世界大百科事典 「ラッキョウ」の意味・わかりやすい解説
ラッキョウ (辣韭)
Allium chinense G.Don(=A.bakeri Regel)
中国原産のユリ科の多年草。鱗茎は長卵形で,外皮は白色または淡紫色。盛んに分げつし,その基部に小鱗茎を生ずる。葉は細い半柱形で中空の五角形を呈する。草丈は30cmくらいで,株全体に特有の臭気を有する。冬は枯れずに,夏に葉が枯れて休眠する。ラッキョウは中国および日本の野菜で,東南アジアでも利用されるが,生産は少ない。英名のrakkyoも日本名そのままである。中国をはじめインドシナ半島,インド,ヒマラヤ地方にも野生種があるといわれている。中国での栽培はひじょうに古いが日本でも古く,ナメミラ,オオミラと呼ばれていたが,《農業全書》や《大和本草》などには〈ラツケウ〉としてその栽培と利用についての記述がある。おもな品種はラクダ,玉ラッキョウ,八ツ房など。日本の市場でエシャロットといわれているものは通常ラッキョウである。全国的に栽培されているが,関東や北陸での栽培が多い。おもに鱗茎を塩漬または酢漬など漬物とし利用するほか,漢方薬にも利用される。
執筆者:平岡 達也
食用
鱗茎を塩漬,しょうゆ漬,甘酢漬などにするが,とくに甘酢漬にすることが多く,その小粒のものを花らっきょうと呼ぶ。これには塩で1~2日下漬したラッキョウを,酢と赤砂糖を同容量合わせ,一度煮たてて冷ました汁に入れて本漬する。トウガラシを丸のまま入れてもよく,1ヵ月ぐらいで食べられるようになる。そのまま食べたり,薄切りにしてカレーライスなどに添える。
執筆者:松本 仲子
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報