フランスの哲学者。1950年に哲学のアグレガシオン(教授資格)を取ったのち,アルジェリアの高校,パリ大学ヴァンセンヌ校,パリ第8大学,国際哲学コレージュ,アメリカ合衆国の大学などで教えた。彼の名を世界に知らしめた『ポスト・モダンの条件』(1989年,原著1979年)は,カナダ・ケベック州政府の大学評議会の依頼で書かれた知のあり方をめぐるレポートである。近代にフランスとドイツで語られた普遍的なるもの(正義,真理)をめぐる物語は,19世紀末以降になると失効し(モダンの終焉),科学の正当化の物語としての哲学も崩壊する。しかし科学者が専門知に閉じこもり,大学が自治を失って経済的・政治的要請に振り回されるようになるなか,リオタールはあえて哲学者として,正義と真理がともに成り立ちうる政治のための「条件」を考えた。その影響は,「廃墟」となった大学で「不同意の共同体」を構想するビル・レディングスや,「ポスト・モダンの条件」をとり払って「条件なき大学」について語るジャック・デリダにも及んでいる。
著者: 岡山茂
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1924 -
フランスの哲学者。
ポスト構造主義哲学を代表する哲学者で、最初現象学とマルクス主義から出発、「主体」の概念の乗り越えを企図し、1970年以降言語学と精神分析の影響を受け独自の哲学を展開。著書「ポスト・モダンの条件」(’79年)の中で、パーソンズのシステム理論を批判、他に「リビドー経済」(’74年)等を著す。
出典 日外アソシエーツ「20世紀西洋人名事典」(1995年刊)20世紀西洋人名事典について 情報
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