リムド鋼
リムドコウ
rimmed steel
鋼塊は鋳込時の脱酸の有無によってリムド鋼とキルド鋼に大別される.リムド鋼とは,脱酸をまったく行わないか,あるいはごく微量の脱酸剤添加後に鋳込まれた鋼塊である.溶鋼中の酸素溶解量は脱酸をしていないために非常に多く,固体状態での溶解度以上であるので,凝固時に溶解炭素と反応してCOガスとなって鋼中より放出される.このガス発生は非常にはげしく,リミングアクションとよばれている.凝固後の鋼塊のマクロ組織は,鋳型に密接している部分は比較的純鉄に近い組成の外殻(リム層)ができており,これがリムド鋼の語源である.また,その内側には鋳型壁に垂直方向に伸びた管状気泡が並んでいるのが特徴である.この鋼塊は偏析がいちじるしく,気泡末端に介在物を捕獲している場合も多い.ただし,この気泡内のガスは純COガスであるので内面が清浄であり,熱間圧延の際に完全につぶれてしまい,鋼の欠陥とはならない.脱酸剤を用いないためコストが安価で,操業も簡単なため偏析があまり問題とならないような低炭素鋼がこれにあてられる.
出典 森北出版「化学辞典(第2版)」化学辞典 第2版について 情報
リムド鋼【リムドこう】
縁付(ふちつき)鋼とも。溶鋼の脱酸にフェロアロイなどを用いた脱酸程度の低い鋼。鋼塊に鋳込むときおよび凝固中に炭酸ガスを発生し,外側に縁(リム)という比較的不純物や気泡(きほう)のない層を形成しつつ凝固,中心部は不均質となる。この鋼の製品は表面が良好なので,圧延のまま使用する鋼材に向く。→キルド鋼
→関連項目鋼塊
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世界大百科事典(旧版)内のリムド鋼の言及
【インゴット】より
…連続鋳造は,非鉄金属では早くから行われてきたが,近年では鉄鋼にも普及し,1980年には日本の粗鋼生産量の60%以上が連続鋳造で生産されるようになった。 造塊法でつくる鉄鋼のインゴットには,製造上からキルド鋼killed steel,セミキルド鋼semi‐killed steel,リムド鋼rimmed steel,キャップド鋼capped steelに分けられ,それぞれ溶鋼の脱酸形式が異なり,独特の凝固パターンを示している(図)。製鋼法における重要な反応は,溶鉄に添加された酸素が溶鉄中の炭素と化合してガス(一酸化炭素)を生ずる反応である。…
【製鉄・製鋼】より
…下注法はキルド鋼など良質の鋼塊をつくる場合に多く用いられる。 鋼塊は溶鋼の脱酸形式によってリムド鋼,キルド鋼,セミキルド鋼に分類される。リムド鋼は低炭素鋼で,鋳込み,凝固中にガスを放出しつつ固まり,周辺部にリム層という不純分が少なく気泡もない層ができるが,その内面に気泡が散在し,中心部は不均質となる。…
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出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」