コトバンクはYahoo!辞書と技術提携しています。

レオナルド・ダ・ビンチ Leonardo da Vinci

世界大百科事典 第2版の解説

レオナルド・ダ・ビンチ【Leonardo da Vinci】

1452‐1519
イタリア,ルネサンスの画家,彫刻家,建築家,科学者。
少年期~修業時代]
 フィレンツェの公証人セル・ピエロ・ダ・ビンチの私生児としてフィレンツェ近郊のビンチVinciに生まれ,少年時代をアルノ川上流の自然の中に過ごす。自然界の現象への好奇心は生涯を通じてもっとも根本的なものであったが,それはこの時期に培われたものと思われる。また,S.フロイトやE.ノイマンなどの心理学者は,生後直ちに生母から引き離され複雑な家庭状況に育てられたことが,母性コンプレクスの原因となり,成長後の芸術表現,とくに女性像に深い影響を与えたと考えた。

出典 株式会社日立ソリューションズ・クリエイト世界大百科事典 第2版について 情報

世界大百科事典内のレオナルド・ダ・ビンチの言及

【アレゴリー】より

…ティツィアーノの《聖愛と俗愛》(1515ころ)には永遠の幸福と一時的な幸福(チェーザレ・リーパ),キリスト教的な高次の精神と低次の精神,新プラトン主義的な存在の2種のあり方(パノフスキー)など,種々のアレゴリーが指摘される。レオナルド・ダ・ビンチの《白貂を抱く婦人の肖像》のように,誇り高い白貂の性質によってモデルの〈純潔〉をたたえるなど,肖像画の中にモデルの理想とする徳性を寓意化することも少なくなかった。ミケランジェロによるメディチ家の2君主の墓廟の構想には,下部から上部にかけて冥界,地上世界が,また〈旧の四つの時〉〈四季〉〈人生の四段階〉などの時のアレゴリーがあるといわれる。…

【アンボアーズ】より

…歴代の諸王が滞在したゴシック様式の城館(15世紀末)は,1560年フランソア2世を新教徒側にひき入れようとして失敗に帰した〈アンボアーズの陰謀〉の舞台として名高い。城内の聖ユベール礼拝堂には,近くのクロ・リュセの館で亡くなったレオナルド・ダ・ビンチの墓がある。【稲生 永】。…

【イタリア美術】より

…ジョットと彼らとの間に相違を見いだすことは図像学的には困難だが,何にもまして空間の合理的構成に大きな差を指摘できよう。ジョット以後,15世紀のマサッチョ,ピエロ・デラ・フランチェスカ,レオナルド・ダ・ビンチまで,ルネサンスの画家は幾何学的遠近法,解剖学,人体比例法を科学的に研究し,現実的空間の客観的再現に努力した。これは,現実を正確に把握することを意味し,常にコムーネにおける他と我との均衡を重んずる市民的世界像の造形的表れであり,この点でポリス世界から生じたギリシアの古典主義と照応している。…

【遠近法】より

…人間の視覚を一定点として,ここから見られる視覚を幾何学的に決定するという理念は,視覚の科学についての関心から出たと同時に,人間中心の,秩序ある世界観が根底にあったと考えられる(2世紀のガレノスは,人間の眼は球面であることから,曲面遠近法の理念を示した。レオナルド・ダ・ビンチもまた視錐は曲面で切るべきだという考えをもっていた。実際の作品に曲面遠近法を用いたと推測されるJ.フーケのような画家もいるが,まだこの点については定説がない)。…

【階段】より

…また内部階段は,空間を縦に貫通する手段として,なかでもらせん階段が建築家の知的関心を集め,上昇感を表現するためのさまざまなくふうが凝らされた。レオナルド・ダ・ビンチの創案になるという,互いにからまりあって上昇する二重らせんの階段も現れたが,しかし,まだ建築の内部空間とは切り離された孤立した部分として扱われており,外部階段の場合のような空間の結節点となることは少なかった。そうした中では,ミケランジェロの設計になるラウレンツィア図書館の階段は,外部階段のもつ儀式的性格を大胆に建築内部にもち込み,同時に空間のはげしい動きを表現した希有な例である。…

【解剖学】より

… 人体をみずからの手で解剖し,よく観察したのは解剖学者でなく画家であった。ベロッキオ,レオナルド・ダ・ビンチ,ミケランジェロらのルネサンス画家がそれである。なかでもレオナルド・ダ・ビンチの解剖は詳細にわたり,しかも生理学的な考察を加えたが,残念ながら彼の描いた精巧な図は人の眼にふれず学問的に用いられることもなかった。…

【からくり】より

…いっぽう中世ヨーロッパのめぼしい都市には,ほとんどの市庁舎や教会の塔に大がかりな機械時計がそなえつけられ,その時計にはかならず〈ジャクマールjaquemart〉と呼ばれる自動人形が出てきて鐘を打ち,さらに聖人の像が窓にあらわれ,等身大の美女が舞踏したり,男女の人形が行列したりする。ルネサンスの天才レオナルド・ダ・ビンチが自動仕掛けの人工ライオンをつくったという話があるが,近世ヨーロッパでは自動装置の人工庭園をつくることが流行し,やがて17世紀には機械時計や精密工芸の成長を背景に,自動仕掛けの〈鳴く鳥〉や〈ダンス人形〉をつくる実験がはじまり,18世紀になるとフランスの機械技術者ボーカンソンやスイスの機械人形師ジャケ・ドローズ父子が登場する。ボーカンソンの精巧な音楽人形やジャケ・ドローズの歯車仕掛けで字や絵をかく自動人形は,当時の人々を驚嘆させ,いっぽうその自動機械の存在は哲学者デカルトやラ・メトリーに人間機械論を着想させた。…

【木】より

…これを百科全書的知の組織図としてみるとき,学芸や知のシンボルとしての系統樹が生ずる。レオナルド・ダ・ビンチがミラノのスフォルツァ城に描いた,根と枝におおわれた〈アッセの間(中心軸の間)〉は,彼がこれらの象徴を体得していたことを示している。
[現代的想像力の中の木]
 木は,自然界についての人間の想像力をつねにかき立ててきた。…

【航空】より


[飛行への挑戦]
 航空のルーツとして,ギリシア神話のダイダロス,イカロス父子の物語がよくあげられるが,このほかにも,古代の神話,絵画,彫刻などに,人間の空へのあこがれを表したものはたくさん残っている。人間の飛行の可能性を初めて科学的に追究したのはレオナルド・ダ・ビンチで,羽ばたき機,ヘリコプター,グライダーなどの考案を発表した。しかし,産業革命以前で,機械的動力をまったく利用できない時代では,成功するはずもなく,模型による飛行実験すら行われなかった。…

【軸受】より

…青銅の玉ころ,テーパーころなどが木の溝の中をころがるものであった。後にレオナルド・ダ・ビンチもころがり軸受に関するいくつかのアイデアをかき残しているが,広く用いられるようになるのは,産業革命の時代に入って機械類の性能向上が強く要請されるようになってからのことである。そして,このころから各国で専業メーカーによるころがり軸受の大量生産が行われるようになり,これとともに規格化も進み,近代的な意味でのころがり軸受はこのころ始まったといえる。…

【舌】より

味覚【黒田 敬之】
[舌の文化史]
 弁論を技術(アルス)の女王とみたキケロは,肺から口の裏に1本の動脈が走っていて心に発した言葉を声にかえ,舌が歯や口腔をたたいて明りょうな音声の流れにすると考えた(《神の本性について》)。またレオナルド・ダ・ビンチは脳底からの神経が舌全体に分布するとし,舌には24の筋が6群となって舌を多様に働かすと考えた(《手記》)。人間の舌と言語との連想は緊密で,ギリシア語glōssa,ラテン語lingua,英語tongue,ドイツ語Zungeその他多くの言葉に舌と言語の両意がある。…

【自動車】より

…しかし,畜力や人力によらず,前述の定義に述べたように,車両に備えた人工の動力によって車輪を駆動して走る自走車の萌芽はずっと遅く,はるかにのちの15世紀のルネサンス時代になる。1480年ころレオナルド・ダ・ビンチは,ぜんまい仕掛の自走車やおもりをつり下げた牽引式の自走車のスケッチ画を残している。その後17世紀に入ると,ニュートンも蒸気を噴射してその反動で走る自走車を構想したといわれており,また1668年ころにはベルギー人のイエズス会宣教師F.フェルビーストが,蒸気を羽根車に吹きつけて動力を発生する衝動式蒸気タービンの模型自走車を製作している。…

【数学】より

…鉱山業,織工業などの生産手段には機械が導入される。レオナルド・ダ・ビンチは絵画,彫刻,建築などあらゆる方面に天才を発揮し,透視法,航空術,解剖学など科学技術についても先駆的な考えを示す。M.ルターが宗教改革を開始したのは1517年であった。…

【スフマート】より

…〈空気に消えてゆく煙のように〉(レオナルド・ダ・ビンチ),画面の明るい部分からごく暗い部分まで,境界線なしに,徐々に変化する諧調をいう。〈煙〉を意味するイタリア語のフーモfumoに由来し,〈煙のかかった〉の意。…

【製図】より

…ただし,これらの文献に見られる図は本文に対する説明図であって,当時の実際の機械製作において,なんらかの図が使用されていたか否かはまったく不明であり,事物の形態を図によって表示することが,その事物をより明確に示しうるという意識の発生を推定しうるのみである。 中世に至り,以前のような絵画図の段階から大きく前進を見せることになったのは,レオナルド・ダ・ビンチの遺稿においてであり,彼は,図示により,表現が単純化され,普遍化されるということを明らかに意識していたといえよう。例えば彼が用いたねじの略図のごときは,ほぼ現代の初頭のそれに匹敵する。…

【素描】より

…現存例では,ラファエロの《アテネの学堂》が名高い。また構成案のための下絵には,レオナルド・ダ・ビンチの《聖アンナと聖母子》のように,タブローに等しい価値を有し,後世に大きな影響を与えた例もある。(4)シーミレsimile(イタリア語) イタリアの初期ルネサンス期にのみ行われた素描で,〈類型〉の意味をもつ用語。…

【男色】より


[近世以降のヨーロッパ]
 近世初期のヨーロッパには巨匠たちの同性愛が目だっている。レオナルド・ダ・ビンチは若いころにも同性愛のかどで告訴されたことがあったが,名を成して後も弟子の美少年たちとつき合い,そのうちの一人フランチェスコ・メルツィを相続人にしている。ミケランジェロは男色者としての好みを作品の中に色濃く投影した。…

【人相学】より

…とくに当時の芸術家たちは,古代の神々やイエス・キリストとその使徒らの容貌を,その性格やたどった運命にかなうように描く必要から,人相学を研究した。ポンポニウス・ガウリクスPomponius Gauricusの《彫刻論》は人相学も論じ,グロテスクな横顔の素描を描いたレオナルド・ダ・ビンチも人相学に興味を示し,鼻の形に注目している。また,A.デューラーは多血質,胆汁質,粘液質,憂鬱(ゆううつ)質などのいわゆる四性論にもとづいた人相学に凝って多くの作品を描いている。…

【パチョーリ】より

…数学教師としてイタリア諸都市の宮廷,ペルージア大学などで教えた。1497年,ミラノ公ルドビーコ・スフォルツァの宮廷に招かれ,そこでレオナルド・ダ・ビンチと知り合い,99年にはフィレンツェへともに旅したことは有名である。その後,ピサ大学,ボローニャ大学で講義をしている。…

【美術解剖学】より

…生理学的構造とその形体化が,美術家に科学者のような興味を抱かせたのである。その優れた例はレオナルド・ダ・ビンチに見られる。そこでは身ぶりや顔面の表情による心理や性格の表現もそれと関連して研究された。…

【比例】より

… ルネサンスに入ると,再びウィトルウィウスを基礎とする比例理論が建築の中心課題となり,ここでもまたピタゴラスの理論が重要な手がかりとされたが,しかし人体的比例の堅持と,それに加えて透視図法的な,一定の視点からの三次元的比例が主たる関心事となった。L.B.アルベルティ,フランチェスコ・ディ・ジョルジョ・マルティーニ,レオナルド・ダ・ビンチといった当時の代表的比例理論家たちは,音楽用語を用いて建築の比例を論じ,調和級数によって空間の奥行きの比例を決定しようとしていた。16世紀以降は,さらに新プラトン主義の影響による数の神秘主義が加わり,きわめて知的な古典主義的比例の体系が確立されていく。…

【ベロッキオ】より

…15世紀後半のフィレンツェで最も繁盛した工房の一つを経営し,多数の弟子とともにメディチ家をはじめとする顧客のためにあらゆる種類の美術品を制作。彼の作と断定できるきわめて少数の絵画の一点《キリストの洗礼》は,晩年の弟子レオナルド・ダ・ビンチが画中の一天使を描いたとされる。彫刻ではブロンズを得意とし,卓越した技巧に裏づけされた,軽快な写実性と洗練された優雅さを兼ね備えた作風を示す。…

【マニエリスム】より

…彼は,15世紀の芸術家が単に自然を模倣しこれを整理する理法を知ったのに反し,16世紀の芸術家は〈マニエラを知る〉ことによって〈自然〉を超えた〈優美〉をもつにいたった,と述べ,ここでマニエラは,〈自然〉に対して,人間の〈イデア(理念)〉を付加する高度の芸術的手法と考えられるようになった。バザーリとその同時代の理論書では,ミケランジェロとレオナルド・ダ・ビンチ,ラファエロの〈手法〉を知ることにより高度の理想美が実現できると考えられたが,これは,芸術表現において初めて,意識的に〈様式〉の自覚が行われたことを意味し,古代ギリシア以来のミメーシス(模倣)の理論に対する一つの変革であった。 しかし,17世紀のバロック古典主義,バロック自然主義のいずれもが,16世紀の主知的様式主義を芸術の堕落として敵視し,とくに美術理論家G.P.ベローリは,このマニエラを自然から離れた虚偽の人為的な芸術であり,芸術のデカダンスであると非難したため,新古典主義が主導権を握った17~18世紀を通じて,マニエラとマニエリスムの双方が著しく価値をおとしめられ,19世紀にいたるまで,マニエラは〈型にはまった同型反復〉,マニエリストは〈巨匠の模倣をする,創造性を欠く追従者〉として位置づけられた。…

【モナ・リザ】より

…レオナルド・ダ・ビンチの代表作。イタリア盛期ルネサンス様式の一頂点をなすばかりでなく,西洋古典絵画のシンボルともみなされる。…

※「レオナルド・ダ・ビンチ」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社日立ソリューションズ・クリエイト世界大百科事典 第2版について | 情報

レオナルド・ダ・ビンチの関連キーワードサンタ・マリア・デッレ・グラツィエ教会とドメニコ会修道院レオナルド・ダ・ビンチ・ディ・フィウミチーノ空港レオナルド・ダ・ビンチ国立科学技術博物館ロレンツォ・ディ・クレディレオナルド・ダ・ヴィンチケネス・M. クラークレナート カステラーニチェーザレ・ダ・セストピエロ・ディ・コジモフィウミチーノ空港ジロデ・トリオゾンフェデリーコ2世アルベルティネリプリュードンフィウミチノスフォルツァローマ[市]大気遠近法はばたき機コレッジョ

今日のキーワード

阪神園芸

阪神電気鉄道株式会社の子会社で、兵庫県西宮市に本社を置く造園会社。正式名称は「阪神園芸株式会社」。1968年に設立された。環境緑化工事の施工・維持管理、公園植栽などの管理、観葉植物のリースといった業務...

続きを読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android

レオナルド・ダ・ビンチの関連情報