レプトスピラを病原体とする人獣共通感染症で、ネズミをはじめイヌ、ウシ、ウマ、ブタなどの尿中に排泄(はいせつ)されたレプトスピラが主として経皮的、ときには経口的に感染して多彩な病型を示す急性熱性疾患の総称である。代表的なものが黄疸(おうだん)出血性レプトスピラ病で、ほかに軽症のものとしてイヌ型レプトスピラ病や秋季レプトスピラ病などがある。それぞれ血清型の異なるレプトスピラを病原体とする。
[柳下徳雄]
もっとも重症型のレプトスピラ病で、黄疸、出血、タンパク尿を主要徴候とし、ワイル病ともよばれる。
[柳下徳雄]
代表的な軽症型のレプトスピラ病で、イヌにより媒介される。黄疸や出血傾向がなく、あってもごく軽症で、都市や農村を問わず発生し、発病地域が不定であることが特徴である。治療や予防は黄疸出血性レプトスピラ病と同じである。
[柳下徳雄]
ノネズミにより媒介され、病原体の株の毒力や患者の抵抗力によって症状の強さも異なるが、一般には軽症型が多く、都市での発病がみられないのが特徴である。日本では古くから地方病として知られ、種々の地方名でよばれる。たとえば、千葉県では佐原(さわら)熱、静岡県では秋疫(あきやみ)・用水熱・天竜熱、岡山県では作州(さくしゅう)熱、福岡県では七日熱・八日熱、大分県ではアッケ病、佐賀県では伊万里(いまり)熱、長崎県では波佐見(はさみ)熱などとして知られる。治療や予防は黄疸出血性レプトスピラ病と同じである。
[柳下徳雄]
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