ロリンズ(読み)ろりんず(その他表記)Sonny Rollins

日本大百科全書(ニッポニカ) 「ロリンズ」の意味・わかりやすい解説

ロリンズ
ろりんず
Sonny Rollins
(1930― )

アメリカのジャズ・テナーサックス奏者ニューヨーク生まれ。本名セオドア・ウォルター・ロリンズTheodore Walter Rollins。9歳からピアノを学ぶ。1944年からアルト・サックスを始め、46年にテナー・サックスに転向して仲間とダンス音楽グループを結成する。47年に高校を卒業してプロ入り。49年に歌手バブス・ゴンザレスBabs Gonzales(1919―80)の録音参加。51年からマイルス・デービスのグループに参加する。54年秋から薬物依存の治療のため1年間活動を休止するが、55年秋にクリフォード・ブラウン=マックスローチ・クインテット(五重奏団)に参加して復帰を果たした。56年6月には自身の傑作アルバムサキソフォン・コロッサスSaxophone Colossusを録音。57年に独立。自身のグループで活躍してスターとなり、力強い音色と非凡な構成による最高のアドリブ即興演奏)で多くのサックス奏者に影響を及ぼした。

 絶頂期を迎えていた1959年から2年間、楽器の可能性探求と精神修養のため一時引退するが、61年から前衛的演奏を行ってエネルギッシュに活動を再開。音楽を担当した映画『アルフィーAlfie(1966)のサウンド・トラックは、グラミー賞の最優秀映画スコア賞にノミネートされた。69~72年ふたたび活動休止。70年代はソプラノ・サックスも吹き、若手たちとフュージョン的な演奏も行っている。85年7月ニューヨーク近代美術館で行われた無伴奏ワンマン・コンサート聴衆感動を与え、評判となった。2000年のアルバム『ジス・イズ・ホワット・アイ・ドゥ』With This Is What I Doではその衰えぬ実力を示した。1963年(昭和38)の初来日以来たびたび公演を行っている。作曲に『オレオ』『セント・トーマス』などの名曲がある。

[青木 啓]

『フランソワ・ポスティフ編著、山口隆子訳『ジャズ・ジャイアンツ・インタビュー集』(1990・JICC出版局)』『後藤雅洋著『ジャイアンツ・オブ・ジャズ』(1991・JICC出版局)』『植草甚一著、高平哲郎編・解説『ぼくの好きなジャズマンたち』(1998・晶文社)』『プチグラパブリッシング編・刊『JazzSeen――カメラが聴いたジャズ』(2002)』『Eric NisensonOpen Sky ; Sonny Rollins and His World of Improvisation(2001, Da Capo Press)』

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改訂新版 世界大百科事典 「ロリンズ」の意味・わかりやすい解説

ロリンズ
Theodore Walter Rollins
生没年:1930-

モダン・ジャズの黒人テナー・サックス奏者。愛称Sonny。男性的な音色で,C.パーカーL.ヤングなど多くの先輩の影響から独特のスタイルを築き上げ,1950年代後半から全世界のテナー奏者に大きな影響を与えた。その絶頂期(1959年8月)に突如引退し,人にも会わず修養に努めた。1961年,RCAと契約を結び,復帰第1作《橋》を発表,健在ぶりをみせた。以後スタイルはO.コールマンの影響をみせたり,引退前のスタイルに戻ったりするなど幾多の変化をみせたが,70年代後半からは空間を音で埋めつくすようなスタイルを持続発展させて今日に至っている。引退前の代表レコードは,《サキソフォン・コロッサス》(プレスティッジ),《ウェイ・アウト・ウェスト》(コンテンポラリー),《ビレッジ・バンガードの夜》(ブルーノート)。復帰後のものに《オン・インパルス》(インパルス),《カッティング・エッジ》《ドント・ストップ・ザ・カーニバル》(マイルストーン)などがある。
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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ロリンズ」の意味・わかりやすい解説

ロリンズ
Rollins, Sonny

[生]1930.9.7. ニューヨーク
アメリカのジャズ・テナーサックス奏者。本名 Theodore Walter Rollins。 1940年代末ジャズ界に入り,1956年 M.ローチのコンボに参加。 1957年に独立してコンボを結成した。 59~61年,69~71年と引退生活をおくったが,復帰後も依然としてモダン・ジャズの第一線で活躍。即興演奏を得意とし,ハード・バップ派に属する個性的な奏者として知られる。また,作曲も多い。

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