精選版 日本国語大辞典「奏者」の解説
そう‐しゃ【奏者】
〘名〙
① 天皇、上皇に事を奏上する人。また、奏上の取次をする人。
※国基集(1102頃)「おほやけに申す事侍りしに申文にそへて奏者の御もとに」
※源平盛衰記(14C前)一八「或時院御所法住寺殿に参りて、御奉加の由言上す。御遊の折節なるに依て、奏者(ソウシャ)此由を申入れず」
② 将軍家・諸大名家・大寺院などで、諸事を主人に取次ぐ役職。また、その人。奏者役。
※春日社記録‐中臣祐賢記・文永二年(1265)八月二一日「奏者出雲都維那観乗」
※謡曲・正尊(1541頃)「昨日路次より歓楽にて候ふほどに、誰がござありたりともお奏者な申しそとのことにて候」
③ (━する) 主人に取次をすること。
※成簣堂本論語抄(1475頃)公冶長第五「赤がきょうそくたうて、朝廷にあって、客人と物の云、そうしゃしつべしと云」
※咄本・醒睡笑(1628)三「始めて奉公に出でつる侍のありしが、奏者する人に御名字はと問はれ、磯貝と答ふ」
④ 「そうしゃばん(奏者番)」の略。
※安井夫人(1914)〈森鴎外〉「其次の年に藩主が奏者(ソウシャ)になられて」
⑤ 楽器を演奏する人。
※わらんべ草(1660)三「笛吹あどの事は、そうしゃ方、其外少づつの事、笛の役なり」
出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報