奏者(読み)ソウシャ

デジタル大辞泉 「奏者」の意味・読み・例文・類語

そう‐しゃ【奏者】

楽器を演奏する人。「バイオリン奏者
天皇上皇奏上する人。また、奏上の取り次ぎをする人。
室町時代以降、武家で、関白将軍に取り次ぎをする役。また、その人。
奏者番」の略。
[類語](1楽士楽師演奏家・演奏者・弾き手ミュージシャンコンサートマスターバンドマスターピアニストバイオリニストチェリストギタリストドラマー

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精選版 日本国語大辞典 「奏者」の意味・読み・例文・類語

そう‐しゃ【奏者】

  1. 〘 名詞 〙
  2. 天皇、上皇に事を奏上する人。また、奏上の取次をする人。
    1. [初出の実例]「おほやけに申す事侍りしに申文にそへて奏者の御もとに」(出典:国基集(1102頃))
    2. 「或時院御所法住寺殿に参りて、御奉加の由言上す。御遊の折節なるに依て、奏者(ソウシャ)此由を申入れず」(出典:源平盛衰記(14C前)一八)
  3. 将軍家諸大名家・大寺院などで、諸事を主人に取次ぐ役職。また、その人。奏者役。
    1. [初出の実例]「奏者出雲都維那観乗」(出典:春日社記録‐中臣祐賢記・文永二年(1265)八月二一日)
    2. 「昨日路次より歓楽にて候ふほどに、誰がござありたりともお奏者な申しそとのことにて候」(出典:謡曲・正尊(1541頃))
  4. ( ━する ) 主人に取次をすること。
    1. [初出の実例]「赤がきょうそくたうて、朝廷にあって、客人と物の云、そうしゃしつべしと云」(出典:成簣堂本論語抄(1475頃)公冶長第五)
    2. 「始めて奉公に出でつる侍のありしが、奏者する人に御名字はと問はれ、磯貝と答ふ」(出典:咄本・醒睡笑(1628)三)
  5. そうしゃばん(奏者番)」の略。
    1. [初出の実例]「其次の年に藩主が奏者(ソウシャ)になられて」(出典:安井夫人(1914)〈森鴎外〉)
  6. 楽器を演奏する人。
    1. [初出の実例]「笛吹あどの事は、そうしゃ方、其外少づつの事、笛の役なり」(出典:わらんべ草(1660)三)

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改訂新版 世界大百科事典 「奏者」の意味・わかりやすい解説

奏者 (そうじゃ)

室町・安土桃山時代職名の一つ。室町幕府や諸大名家に置かれ,幕府の場合正式には申次(もうしつぎ)あるいは申次衆と呼ばれた。数名で結番して,殿中伺候してきた諸士姓名告げ,謁せしめるのがその職掌であり,関係史料として《長禄二年以来申次記》や《殿中申次記》などがある。織田家や豊臣家の職制上にも奏者が存在した。
奏者番
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百科事典マイペディア 「奏者」の意味・わかりやすい解説

奏者【そうしゃ】

室町・安土桃山時代の職名。〈そうじゃ〉ともいう。室町幕府や諸大名が設置し,幕府では正式には申次(もうしつぎ)または申次衆とよばれた。殿中(でんちゅう)に伺候(しこう)してきた諸士の姓名を告げ,謁(えつ)せしめるのが職掌。→奏者番

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世界大百科事典(旧版)内の奏者の言及

【奏者番】より

…江戸幕府の職制。君側にあって諸事を取り次ぐ人,またその役を奏者といい,室町幕府では申次衆のことをいった。織田氏,豊臣氏,開幕以前の徳川氏も奏者の役を置いた。…

【寄親・寄子】より

…親子関係に擬して結ばれた保護者・被保護者の関係。戦国大名の家臣団組織の中で,寄親は指南,奏者などとも呼ばれ,寄子は与力(寄騎),同心とも呼ばれた。邦訳《日葡辞書》では,寄親を〈ある主君の家中とか,その他の所とかにおいて,ある者が頼り,よりすがる相手の人〉,寄子を〈他人を頼り,その庇護のもとにある者。…

※「奏者」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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