コールマン(読み)こーるまん(その他表記)James Samuel Coleman

デジタル大辞泉 「コールマン」の意味・読み・例文・類語

コールマン(Ornette Coleman)

[1930~2015]米国のジャズサックス奏者・作曲家。伝統的な音楽技法にとらわれず、フリージャズ牽引けんいんした。

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精選版 日本国語大辞典 「コールマン」の意味・読み・例文・類語

コールマン

  1. ( Ronald Colman ロナルド━ ) アメリカ映画俳優イギリスに生まれる。代表的出演作品に「心の旅路」「二重生活」など。その口ひげは、コールマンひげと呼ばれて流行した。(一八九一‐一九五八

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「コールマン」の意味・わかりやすい解説

コールマン(James Samuel Coleman)
こーるまん
James Samuel Coleman
(1926―1995)

アメリカの社会学者。パーデュー大学を卒業し、イーストマン・コダック社に短期間勤めた後、コロンビア大学大学院で社会学を学ぶ。1956年にシカゴ大学に職を得るが、1959年にジョンズ・ホプキンズ大学に移った後、1973年にシカゴ大学に教授として戻る。合理的選択理論や数理社会学、計量社会学、教育社会学、政策科学など多方面の活躍で知られ、著書に『青年期の社会』The Adolescent Society(1961)、『数理社会学序説』Introduction to Mathematical Sociology(1964)、『権力と社会の構造』Power and the Structure of Society(1974)、『縦断的データ分析』Longitudinal Data Analysis(1981)、『非対称社会』The Asymmetric Society(1982)、『社会理論の基礎』Foundations of Social Theory(1990)などがある。また、いわゆる「コールマン報告」で知られる黒人・白人間の教育格差に関する全米調査(1966)の調査主任を務めた。これらのうちでとくに重要なのは『数理社会学序説』と『社会理論の基礎』である。前者は社会学の一分野としての数理社会学の成立を宣言し、その後の発展の契機となった。また後者は合理的選択理論を用いた社会学的分析の到達点の一つであり、世界の社会学者に影響を及ぼした。

[原 純輔]

『J・S・コールマン著、西田春彦・平松闊訳『態度変容モデル』(1974・紀伊國屋書店)』『久慈利武監訳『社会理論の基礎』上下(2004、2006・青木書店)』『James Samuel Coleman, Thomas Hoffer, Sally KilgoreHigh School Achievement(1982, Basic Books, New York)』『J. S. ColemanEquality and Achievement in Education(1990, Westview Press, Boulder)』『J. S. ColemanUniversity Development in the Third World(1993, Pergamon Press, Oxford ; Tokyo)』『J. S. ColemanRedesigning American Education(1997, Westview Press, Boulder)』


コールマン(Ornette Coleman)
こーるまん
Ornette Coleman
(1930―2015)

アメリカのジャズ・アルトサックストランペットバイオリンの奏者、作曲家。テキサス州生まれ。14歳からアルトサックスを独習し、ハイスクール時代には仲間とクラブでジャズやリズム・アンド・ブルース(R&B)を演奏していた。その後は地方のR&B楽団に参加した。1950年からロサンゼルスに住んで自己の音楽を研究し、結果として従来のジャズの即興演奏における小節、和声、調性というヨーロッパ音楽性の枠から脱して、アフリカ音楽性の自由な即興演奏にするジャズの革新を行って、フリー・ジャズの原点を創造した。トランペット奏者ドン・チェリーらと1958年からアルバムを録音し、1959年の『ジャズ、来たるべきもの』でジャズ界に衝撃を与え、1960年には大作『フリー・ジャズ』を生んだ。1970年代に入ってモロッコの民族音楽を研究し、ハーモロディックと称する独自の理論を展開するなど彼の影響は広い分野に及んでいる。

[青木 啓]

『ジョン・リトワイラー著、仙名紀訳『オーネット・コールマン――ジャズを変えた男』(1998・ファラオ企画)』


コールマン(Ronald Coleman)
こーるまん
Ronald Coleman
(1891―1958)

アメリカの映画俳優。イギリスのリッチモンドに生まれる。ロンドンで舞台、映画出演を経て1920年に渡米。典型的な英国紳士で、貴族的マスクが爆発的人気をよび、独特の口ひげは「コールマンひげ」の名で流行した。代表作に『ステラ・ダラス』(1925)、『夢想の楽園』(1926)、『失はれた地平線』(1937)、『心の旅路』(1942)、『二重生活』(1947。アカデミー主演男優賞受賞)などがある。

[日野康一]

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「コールマン」の意味・わかりやすい解説

コールマン
Coleman, Ornette

[生]1930.3.9. テキサスフォートワース
[没]2015.6.11. ニューヨーク,ニューヨーク
アメリカ合衆国のジャズ・サクソフォーン(→サクソフォーン)奏者,作曲家,バンドリーダー。フルネーム Randolph Denard Ornette Coleman。10代の頃,アルト・サクソフォーンとテナー・サクソフォーンの演奏を始め,まもなくダンスバンドやリズム・アンド・ブルースのグループで奏者として働いた。当時のジャズインプロビゼーション(即興演奏)は,伝統的な和音進行(コード進行)で演奏されていたが,コールマンは独自の演奏スタイルのフリー・ジャズを生み出し,1950年代にみずからのバンドを組んだ。1958年の初のアルバム『サムシング・エルス!』Something Else,翌 1959年の『ジャズ来るべきもの』The Shape of Jazz to Comeは,ジャズとしてまったく新しい無調的な即興演奏で,一大センセーションを巻き起こし,その後のフリー・ジャズの流れを生んだ。しかし経済的には恵まれず,1962~64年にはジャズ界から退いた。1965年に再登場して旧に倍する人気を獲得,以後,前衛ジャズの最先端で活躍した。作曲家としては『アメリカの空』Skies of Americaが最もよく知られ,1972年にロンドン交響楽団とコールマンのアルト・サクソフォーンとの共演でレコーディングされた。2001年高松宮殿下記念世界文化賞,2007年ピュリッツァー賞を受賞した。

コールマン
Colman, Ronald

[生]1891.2.9. イギリス,リッチモンド
[没]1958.5.19. アメリカ合衆国,カリフォルニア,サンタバーバラ
イギリスの映画俳優。フルネーム Ronald Charls Colman。アメリカ合衆国で活躍。イギリス紳士的風格によって人気を得,その口ひげはコールマンひげと呼ばれ流行を生んだ。主演作品『嵐の三色旗(二都物語)』A Tale of Two Cities(1935),『心の旅路』Random Harvest(1942)など。1947年,『二重生活』A Double Lifeでアカデミー賞主演男優賞を受賞。

コールマン
Colman, Samuel

[生]1832.3.4. メーン,ポートランド
[没]1920.3.27. ニューヨーク
アメリカの風景画家。ニューヨークで A.デュランに師事し,1860~62年ヨーロッパに遊学。 60年 J.スマイリーとともにアメリカ水彩画協会を創設した。 71~76年再度ヨーロッパに滞在。代表作『ウェスタン・プレインズの船』 (ニューヨーク,ユニオン・リーグ・クラブ) ,『コロラド山景』 (メトロポリタン美術館) など。

コールマン
Colman

[生]?
[没]676.8.8.
アイルランドのケルト系キリスト教の聖人。 661年イングランドのリンディスファーン司教となり,ケルト教会の宗教慣習の擁護に努め,教会のローマ・カトリック化に反対したが,663または4年ウィトビーの宗教会議で正統を争って敗れ,帰国後修道院を設立して布教した。祝日は2月 18日。

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改訂新版 世界大百科事典 「コールマン」の意味・わかりやすい解説

コールマン
Ornette Coleman
生没年:1930-

アメリカの黒人アルト・サックス奏者。1959年ロサンゼルスを経てニューヨークにデビューした彼のカルテットは,奇想天外なジャズを演じて大きな反響をまきおこした。調子はずれのメロディに不協和音というその音楽は既成概念からは評価できぬものとして,否定する者の方が多かった。しかし60年代の中ごろ,ブラック・パワーの高揚によって,ヨーロッパ音楽の基準では律せられぬ黒人音楽のルーツが解明されるにつれ,だんだんと正当な評価を得るようになった。彼はアルト・サックスのほかトランペット,バイオリンも演奏するが,従来の奏法にとらわれぬ自由な表現と強烈な訴えかけは,音楽世界に新次元を開いたものととらえられ,ゲットーの黒人やヨーロッパのジャズメンが演じた60年代フリー・ジャズの出発点となった。主要作品に《ジャズ来るべきもの》(1959),《ゴールデン・サークル》(1965)がある。
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百科事典マイペディア 「コールマン」の意味・わかりやすい解説

コールマン

米国のジャズ・アルト・サックス奏者。1960年代のモダン・ジャズ界にフリー・ジャズの旋風を巻き起こした。1959年,西海岸からニューヨークへ移りカルテットを結成,演奏活動を展開した。既成のスタイルに当てはまらない微妙にずれた音程や小節数,独特な旋律やハーモニー,自由なリズムなどあらゆる点で革新的なアプローチに注目が集まった。1959年―1960年の代表作《ジャズ来るべきものThe Shapes Of Jazz To Come》や《フリー・ジャズFree Jazz》は,賛否両論をもって迎えられる。ジャズのみにとどまらない,音楽の原点回帰を示唆したコールマンの姿勢は,後の幅広い音楽家・批評家たちに大きな衝撃を与えた。
→関連項目ジャズドルフィー

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デジタル大辞泉プラス 「コールマン」の解説

コールマン

体操、男子鉄棒競技の技。コバチ(バーを越えながら、後方かかえ込み2回宙返り懸垂)1回ひねり。1990年発表。名称はスロベニアの体操選手、アロジュ・コールマンから。

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