ワッセナー協約(読み)ワッセナーキョウヤク(英語表記)Wassenaar Arrangement

デジタル大辞泉 「ワッセナー協約」の意味・読み・例文・類語

ワッセナー‐きょうやく〔‐ケフヤク〕【ワッセナー協約】

ワッセナー‐アレンジメント

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知恵蔵 「ワッセナー協約」の解説

ワッセナー協約

通常兵器兵器応用可能汎用技術(デュアルユース技術)の移転規制協定。冷戦時代の対共産圏兵器・高度技術移転規制COCOMは冷戦の終結意義を失う一方、通常兵器とデュアルユース技術の拡散が大きな問題となったため、1993年にハーグでCOCOMメンバー17カ国代表が会合して、新しい多国間協定の締結が合意された。94年3月にオランダワッセナーで開催された会合でCOCOMの廃止と新協定の設立が正式に決まり、ワッセナー協約と呼ばれる。ロシアの加盟問題で難航したが、96年7月にウクライナブルガリアなども加えた33カ国で発足。通常兵器の移転状況の情報交換が行われ、移転制限対象品、技術を規定したコントロールリストが作られている。2004年12月のウィーン総会では、テロリストへの兵器や技術移転を防止、テロに使用される可能性が高い携行式地対空ミサイル(MANPADS)の規制を強化、既存の規制内容の説明をより分かりやすい「ユーザー・フレンドリーな」記述に改めるなどの合意が成立した。また、同年10月には、未加盟国、NGO、学会などを含めた拡大会合(アウトリーチ・セミナー)が初めて開催された。

(江畑謙介 拓殖大学海外事情研究所客員教授 / 2007年)


ワッセナー協約

国際的な武器輸出管理体制の1つで冷戦期の対共産圏輸出統制委員会(ココム)に代わるもの。1996年7月、ロシアなどを含む33カ国で発足。通常兵器と軍民両用技術の2つのガイドライン設定、うち輸出許可が必要な品目は114。

(坂本義和 東京大学名誉教授 / 中村研一 北海道大学教授 / 2007年)

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百科事典マイペディア 「ワッセナー協約」の意味・わかりやすい解説

ワッセナー協約【ワッセナーきょうやく】

正式名称は〈通常兵器などの輸出を管理するワッセナー協約〉。ワッセナー・アレンジメントワッセナー取決めとも。また通称,新COCOM。1996年7月に発足,11月に発動COCOMに代わる冷戦後の戦略物資輸出管理機構。事務局はウィーン。テロ支援国など危険視される国(特定の国名は挙げられていない)に対して,通常兵器やその関連製品・技術を輸出しないことを原則に管理体制を構築することを目的とする。原加盟国は,日・米・欧の旧COCOM参加国に加えて韓国やロシア,ウクライナ,ブルガリアなどの33ヵ国,2012年現在41ヵ国。対象品目は約110で,COCOM輸出規制対象リストに比べ,ほとんどの分野で規制が緩和されている。ただし法的拘束力がない点,中国が未加入の点などが課題となっている。

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