日本の緊急通報用電話番号の一つ。消防機関への火災、救急の通報専用電話番号。日本で火災報知用の専用電話が制度化されたのは、1917年(大正6)4月1日。当時は、手動式交換で電話局を通して火災通報を行っていた。1923年の関東大震災後、自動交換方式が採用され、1926年(大正15)1月20日からダイヤル式即時通話となった。このときは、一刻を争う危急のダイヤルゆえ、ダイヤル時間の短い番号としてダイヤル「112」が火災報知専用とされた。ところが、普通の通話を意図する者が、自動式になっても従来の手動式電話をかけるときと同じように、受話器を外してからダイヤルを回す前にフックスイッチを数回ガチャガチャ上下させるという習慣が抜けきらないため、ダイヤルを回したのと同じ結果となり、次に局番の「2」や「3」をダイヤルすることによって消防署につながってしまう誤接続が発生したといわれている。そこで「112」について検討がなされ、末尾番号の「2」をやめて、局番号として使用していない「9」に変えたのである。この「119」は、1927年(昭和2)10月1日から現在に至るまで用いられている。
119番への通報は、一般の加入電話、携帯電話・PHSなどの移動電話からは自由にできるが、IP電話は、119番などの緊急通報ができないものがある。また、公衆電話からは、種類によってかけ方に違いがあり、前面に緊急通報用ボタン(赤ボタン)があるものは、ボタンを押して「119」をダイヤルし、緊急通報用ボタンがないものは、受話器を上げてから「119」をダイヤルする。
このほか、音声によらない通報の方法として、ほとんどの消防本部で、FAXや電子メールにより緊急通報を受け付けている。
[次郎丸誠男]
『総務省編『情報通信白書』各年版(ぎょうせい)』
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