一条兼定(読み)いちじょうかねさだ

改訂新版 世界大百科事典 「一条兼定」の意味・わかりやすい解説

一条兼定 (いちじょうかねさだ)
生没年:1543-85(天文12-天正13)

戦国期土佐の公家大名。従三位権中納言,法号天真院殿自得宗惟,洗礼パウロ。房基の子で幡多郡中村に居城大友宗麟の娘を妻とし伊予南部の西園寺氏を討ち,東土佐の安芸氏と結び長宗我部元親を挟撃しようとしたが失敗,1573年(天正1)元親と通じた老臣たちにより家督を廃され,翌年豊後大友氏のもとへ追放された。臼杵での入信以後熱烈なキリシタンとなるが,75年宗麟および南伊予諸将の援助を得て幡多郡に侵入,渡川(四万十川)で長宗我部氏と戦い敗走,旧領回復の夢を絶たれる。最後の隠棲地は宇和島沖の戸島で,ルイス・フロイスによれば,85年熱病のため没したらしい。
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朝日日本歴史人物事典 「一条兼定」の解説

一条兼定

没年:天正13.7.1(1585.7.27)
生年天文12(1543)
戦国・安土桃山時代武将。父は一条房基,母は大友義鑑の娘。土佐一条家に生まれ,京都の一条房通の猶子となって天文20(1551)年叙爵,元服し,翌年従三位となる。土佐国(高知県)幡多郡中村城に本拠をおき,同郡,高岡郡と伊予国(愛媛県)宇和郡を支配下におくが,長宗我部元親に諸城を奪われ,天正1(1573)年に権中納言となってまもなく出家した。家督は子内政が継いだが,実質的な支配権は元親が握った。同2年,兼定は後妻の父大友宗麟を頼って豊後国(大分県)に渡り,イエズス会日本布教長カブラルによってキリスト教に感化され,翌年その弟子バウチスタから洗礼を受けた。霊名をドン・パウロという。その後,土佐に帰国し,渡川(四万十川)で旧臣と共に元親軍と合戦したが敗れ,伊予国宇和島の戸島に隠居。元親に買収された近習の入江某に切られて重傷を負い,同13年に病没した。墓は戸島にある。<参考文献>『中村市史』

(伊東正子)

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「一条兼定」の意味・わかりやすい解説

一条兼定
いちじょうかねさだ
(1543―1585)

土佐国の戦国大名。幡多郡(はたぐん)中村城主。父は一条房基(ふさもと)、母は大友義鑑(よしあき)の娘。妻宇都宮元綱の娘と離別の後、大友義鎮(おおともよししげ)(宗麟(そうりん))の娘と再婚。豊後国(ぶんごのくに)の大友氏に協力して伊予国宇和郡の西園寺(さいおんじ)氏を度々攻略。しかし、しだいに長宗我部元親(ちょうそがべもとちか)に圧迫される。1573年(天正元)に権中納言(ごんちゅうなごん)となる。同年に家臣に追放されて出家・隠居。1574年豊後国に渡って宗麟に寄寓し、キリシタンの洗礼を受ける。洗礼名はドン・パウロ。同年に土佐国に戻り、渡川(わたりがわ)の合戦で元親に敗れて宇和島の戸島(とじま)(現、宇和島市戸島)に隠居したが、元親に内通した家臣に斬られ、数年後の1585年に病没した。戸島の竜集寺(りゅうしゅうじ)に墓がある。

[菅原正子]

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デジタル版 日本人名大辞典+Plus 「一条兼定」の解説

一条兼定 いちじょう-かねさだ

1543-1585 戦国-織豊時代の公卿(くぎょう),武将。
天文(てんぶん)12年生まれ。一条房基(ふさもと)の子。母は大友義鑑(よしあき)の娘。土佐(高知県)の公家(くげ)大名。天文21年従三位。天正(てんしょう)元年権(ごんの)中納言。長宗我部元親(ちょうそかべ-もとちか)と通じた老臣らに追放され,家督を子内政(ただまさ)にゆずり,2年豊後(ぶんご)の叔父大友宗麟(そうりん)のもとへのがれる。3年臼杵(うすき)で受洗。同年旧領回復をはかったが元親に敗れた。天正13年7月1日死去。43歳。洗礼名はパウロ。

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「一条兼定」の意味・わかりやすい解説

一条兼定
いちじょうかねさだ

[生]天文12(1543)
[没]? 伊予
戦国時代末期の土佐国守。房基の子。母は大友氏。天正1 (1573) 年,部下の長宗我部元親に追われ,大友宗麟を頼って豊後に逃れた。同9年洗礼を受け,パウロと称した。のち伊予で元親の兵に殺された。 (→一条教房 )

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