七歩の才(読み)シチホノサイ

精選版 日本国語大辞典 「七歩の才」の意味・読み・例文・類語

しちほ【七歩】 の=才(さい)[=情(じょう)

  1. ( 魏の曹植(そうしょく)が兄の曹丕(そうひ)の命令で、七歩あゆむ間に一詩を作ったという「世説新語‐文学」の故事から ) 詩才がすぐれ、詩作の早いことをいう。
    1. [初出の実例]「忽逢文雅席、還愧七歩情」(出典:懐風藻(751)秋宴〈紀古麻呂〉)
    2. 「詩は盛唐の波瀾を捲きて、七歩才(しちホノさい)に先だち、文は漢魏の芳潤に漱(くちすす)いで万巻の書を諳(そら)んじ給しかば」(出典太平記(14C後)一二)

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報 | 凡例

故事成語を知る辞典 「七歩の才」の解説

七歩の才

すばやく詩や文章を作る才能のたとえ。

[使用例] なにを田のにしのび鳴くらん 寄虫恋むしによするこいというつもりだが、七歩の才おぼつかなく、上の句がすぐに出ない[石川淳*かよい小町|1947]

[由来] 「世説新語―文学」に見える逸話から。三世紀、三国時代の中国でのこと。という国のそうという人物は、時の皇帝、文帝の弟でしたが、若いころから才気にあふれていて、その才能を兄にねたまれていました。あるとき、文帝が曹植に向かって、「七歩、進む間に詩を作らなければ死刑に処する」というむごい命令を出します。ところが、曹植は即座に、兄弟が争わなくてはならないことを嘆いた詩を作ったので、文帝は深く自分を恥じたということです。

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