3国すなわちインド,中国,日本における仏法伝通に関して述べた仏教史。東大寺凝然の著。3巻。1311年(応長1)7月の成立。上巻は天竺(インド)における仏教の発生と進展,震旦(中国)における毘曇(びどん),成実,戒律,三論,涅槃,地論,浄土,禅,摂論(しようろん),天台,華厳,法相,真言の13宗について概観し,中・下巻にわたって日本における三論,法相,華厳,俱舎(くしや),成実,律,天台,真言の8宗について,その流通,法脈などを精記し,下巻の巻末には当時ようやく盛行していた禅宗,浄土宗について略記している。浄土宗に関しては別に《浄土法門源流章》の大著が著作されていたからであろう。29歳のとき著した《八宗綱要》や《律宗瓊鑑章(りつしゆうけいかんしよう)》などとともに,凝然の歴史家としての一斑を示す好著で,今日伝わらぬ史書などが援用されている。巻末には本書を戒壇院で撰述し,後宇多法皇の叡覧に供した奥書がある。
執筆者:堀池 春峰
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
仏教書。3巻。1311年(応長1)成立。著者は凝然(ぎょうねん)。インド、中国、日本の三国における仏教流伝の歴史を概説したもの。後宇多(ごうだ)法皇の要請で著されたが、上巻は天竺(てんじく)(インド)における仏教の成立と発展、震旦(しんたん)(中国)における毘曇(びどん)、成実(じょうじつ)、戒律、三論、涅槃(ねはん)、地論(じろん)、浄土、禅、摂論(しょうろん)、天台、華厳(けごん)、法相(ほっそう)、真言(しんごん)など十三宗の伝播(でんぱ)について述べ、中・下巻は日本における三論、法相、華厳、倶舎(くしゃ)、成実、律、天台、真言の八宗と、禅宗、浄土宗の弘通(ぐつう)について略述している。凝然の著『八宗綱要』とともに初学者の入門書として重要である。
[納冨常天]
米テスラと低価格EVでシェアを広げる中国大手、比亜迪(BYD)が激しいトップ争いを繰り広げている。英調査会社グローバルデータによると、2023年の世界販売台数は約978万7千台。ガソリン車などを含む...
11/21 日本大百科全書(ニッポニカ)を更新
10/29 小学館の図鑑NEO[新版]動物を追加
10/22 デジタル大辞泉を更新
10/22 デジタル大辞泉プラスを更新
10/1 共同通信ニュース用語解説を追加