三心(読み)サンシン

デジタル大辞泉 「三心」の意味・読み・例文・類語

さん‐しん【三心】

《「さんじん」とも》仏語浄土に生まれるために必要な3種の心。観無量寿経に説く、至誠心しじょうしん深心じんしん回向発願心えこうほつがんしん無量寿経に説く、至心信楽しんぎょう欲生よくしょう

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精選版 日本国語大辞典 「三心」の意味・読み・例文・類語

さん‐しん【三心】

  1. 〘 名詞 〙 ( 「さんじん」とも ) 仏語。
  2. 極楽往生を得るのに必要とされる三種の心。「観無量寿経」に説く真に浄土を願う至誠心念仏によって往生を得ると深く信ずる深心、念仏の功徳をすべて回向して、往生したいと願う回向発願心をいう。
    1. [初出の実例]「具此三心必得往生。若少一心即不生」(出典往生要集(984‐985)大文五)
  3. 菩薩のおこす三種の心。初住の菩薩の直心(じきしん)・深心・大悲心の三つ、初地の菩薩の真心・方便心・業識心の三つをいう。

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「三心」の意味・わかりやすい解説

三心
さんしん

仏教用語。 (1) 『観無量寿経』に説かれる3種の心をいう。至誠心 (真実に浄土を願う心) ,深心 (深く浄土を願う心) ,回向発願心 (所修の功徳を回向して浄土に往生しようと願う心) の三心をそなえているものは必ず浄土に往生できるという。 (2) 菩薩の起す3種の心。『大乗起信論』の所説で,直心 (真如を念じる心) ,深心 (すべての善行を身につけようとする心) ,大悲心 (すべての衆生を救おうとする心) の3種がある。また同じく『起信論』の所説には,初地以上の菩薩が起す三心として,真心 (はからいをこえた心) ,方便心 (衆生を恵もうとして働く心) ,業識心 (上の二心によって智慧が生じたときに,なお微細に働く心) がある。 (3) 凡夫の除きがたい3種の心。起事心,依根本心,根本心の3種をいう。 (4) 『成実論』の所説で,聖者が滅ぼさなければならない心。仮名心 (実我にとらわれた心) ,法心 (実法すなわち実体にとらわれた心) ,空心 (空にとらわれた心) の3種をいう。

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