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大乗起信論 だいじょうきしんろんDa-cheng qi-xin-lun

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

大乗起信論
だいじょうきしんろん
Da-cheng qi-xin-lun

インドの馬鳴 (めみょう。 Aśvaghoṣa) の著と伝えられている。『起信論』と略称される。漢訳だけ現存し,梁の真諦訳は1巻。実叉難陀訳は2巻。大乗仏教の要旨を簡潔に述べているので入門書として初心者に広く読まれ,鈴木大拙による英訳"The Discourse on the Awakening of Faith in the Mahayana" (1900) などもある。如来蔵思想を説くもので,その内容は,一心,二門,三大,四信,五行を明らかにしている。一心とは衆生心のことで,一心が,真如門と生滅門の二門に分けられることを説き,真如門では一心の本体について述べており,生滅門では一心の現象面について述べている。さらに一心の意味とその働きを,体大,相大,用大 (ゆうだい) の三大 (→体・相・用 ) として説明し,後半には実践の行法について,四信,五行として述べている。

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デジタル大辞泉の解説

だいじょうきしんろん【大乗起信論】

インド古代の仏教書。馬鳴(めみょう)作と伝えられるが疑問も多い。成立年未詳。漢訳は梁(りょう)の真諦(しんだい)訳1巻、唐の実叉難陀(じっしゃなんだ)訳2巻がある。大乗仏教の中心思想を理論と実践の両面から説いたもの。起信論。

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百科事典マイペディアの解説

大乗起信論【だいじょうきしんろん】

インド古代,仏教の哲学的論書。中国訳は真諦(しんたい)の1巻本とされるがサンスクリット原本はなく,中国撰述説もある。大乗仏教中心教義を要約したもの。真如・如来蔵縁起を説き,地論宗・華厳(けごん)宗に影響を与えた。

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世界大百科事典 第2版の解説

だいじょうきしんろん【大乗起信論 Dà shèng qǐ xìn lùn】

単に《起信論》ともいう。インドの馬鳴(めみよう)の作,真諦の訳とされるが,中国撰述説を含めて諸説がある。本論大乗仏教の中心教義を理論と実践の両面から要約したもので,序分,正宗分,流通分で構成される。正宗分は,本論の縁起を述べた因縁分,大綱を提示した立義分,詳解した解釈分の主として理論面と,前三分を信仰して修行する方法を述べた修行信心分,大いなる利益を得られることを説いた勧修利益分の実践面とからなる。

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大辞林 第三版の解説

だいじょうきしんろん【大乗起信論】

一巻または二巻。馬鳴めみよう著と伝えるが、中国撰述の疑いもある。五世紀頃の成立か。大乗仏教の代表的概説書。大乗に対する正しい信心を起こさせることを目的とし、心を本来の面(心真如門)と活動の面(心生滅門)の二面から考察する。起信論。

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

大乗起信論
だいじょうきしんろん

仏教論書。一巻。略して『起信論』ともいう。インドの仏教詩人アシュバゴーシャ(馬鳴(めみょう)。2世紀)の作と伝えるが、おそらく5~6世紀の成立と考えられる。パラマールタ(真諦(しんだい)。中国梁(りょう)代)とシクシャーナンダ(実叉難陀(じっしゃなんだ)。唐代)による2種の漢訳が伝わっており(いずれも『大正新修大蔵経』第32巻所収)、一般には真諦訳が多く用いられる。本書の作者、訳者、成立事情などについては古来、異説が後を絶たず、とくに大正から昭和の初期にかけて、インド成立か中国成立かをめぐる学会の大論争があった。大乗とはなにかということを、理論と実践の両面から、唯心論の立場で簡潔に論述した大乗仏教の名著である。第1章「因縁分(いんねんぶん)」(論を著す理由)、第2章「立義(りゅうぎ)分」(問題の所在)、第3章「解釈(げしゃく)分」(詳細な理論的説明)、第4章「修行信心分」(実践と信心)、第5章「勧修利益(かんしゅうりやく)分」(本論の実習を勧めて利益を説く)の5章からなる。本書の思想がインド仏教において採用された形跡は見当たらないが、中国、日本の仏教思想に及ぼした影響は大きく、現在に伝えられた注釈文献の数は約300種に達する。[柏木弘雄]
『柏木弘雄著『大乗起信論の研究』(1981・春秋社) ▽宇井伯寿訳『大乗起信論』(岩波文庫)』

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