日本大百科全書(ニッポニカ) の解説
三菱東京フィナンシャル・グループ
みつびしとうきょうふぃなんしゃるぐるーぷ
金融グループの旧名称。東京三菱銀行(三菱東京UFJ銀行を経て、現、三菱UFJ銀行)と三菱信託銀行(現、三菱UFJ信託銀行)が事業統合して誕生した金融グループ、またその持株会社。グループの総資産は110兆円(2005年3月末。連結ベース)と、みずほフィナンシャルグループに次いで国内第2位であった。三菱東京フィナンシャル・グループは2005年(平成17)10月にUFJホールディングスと合併して、三菱UFJフィナンシャル・グループとなり、世界最大の総資産をもつ金融グループとなった。三菱東京フィナンシャル・グループの事業統合は、2001年4月に金融持株会社(資本金1兆1465億円)を設立し、傘下に東京三菱、三菱信託の両行と東京三菱銀行の子会社である日本信託銀行が入った。その後、同年10月に三菱信託銀行、日本信託銀行と東京三菱銀行の子会社である東京信託銀行の信託3行が合併(行名は三菱信託銀行。現、三菱UFJ信託銀行)。このほかに三菱証券(国際証券、東京三菱パーソナル証券など4社が2002年合併して誕生。現、三菱UFJ証券)も傘下とし、総合金融グループの体制を整えた。旧三菱財閥内での事業統合のため、三菱系企業との取引が柱となった。当時の四大メガバンクのなかでは財務の健全性に優れ、資産運用や国際業務に強みをもつのが特徴であった。ただ、同じ三菱系の東京海上火災保険が、みずほ系の日動火災海上保険と2002年4月、持株会社「ミレアホールディングス(現、東京海上ホールディングス)」を設立して経営統合(2004年に合併、東京海上日動火災保険となる)、また三菱系の明治生命保険とみずほ系の安田生命保険が2004年に合併し、明治安田生命保険となるなど、三菱グループ内には銀行主導の再編への不協和音もみられた。
[矢野 武 2018年8月21日]