日本大百科全書(ニッポニカ) 「東京三菱銀行」の意味・わかりやすい解説
東京三菱銀行
とうきょうみつびしぎんこう
都市銀行の旧名称。1996年(平成8)4月1日に東京銀行と三菱銀行が合併した、当時では日本最大規模の銀行で、2005年(平成17)3月末の預金量は53兆円に及んだ。合併の目標としては、幅広い顧客のニーズに迅速かつ的確に対応、グローバルな銀行、行員の能力発揮、経営の合理化と財務体質の改善が掲げられたが、三菱グループの中心として優良企業を取引先にもつ三菱銀行と、横浜正金(しょうきん)銀行以来の国際業務に精通しているが国内に弱みのあった東京銀行の合併は相互に補完しあうものとして評価された。とくに東京銀行は旧外国為替(かわせ)専門銀行で金融債の発行が可能であったので、金融業務の自由化いわゆるビッグバンの進むなかで有力な金融業務をもつフルライン銀行として位置づけられた。バブル崩壊後に大手金融機関が不良債権処理に直面するなかで、いち早くアメリカの証券取引委員会(SEC)基準に準拠した不良債権の開示を行うなど先進的な銀行として高い評価を得、海外の格付け機関の評価も高かった。2001年4月には三菱信託銀行、日本信託銀行との経営統合により共同持株会社(三菱東京フィナンシャル・グループ)を設立(なお、三菱信託銀行、日本信託銀行は2001年10月に東京信託銀行と合併し、社名を三菱信託銀行とした。2005年10月にUFJ信託銀行と合併、三菱UFJ信託銀行となる)、さらに三菱東京フィナンシャル・グループは、2005年10月にUFJホールディングスと合併、三菱UFJフィナンシャル・グループとなり、東京三菱銀行はその傘下となった。2006年1月には同グループのUFJ銀行と合併、三菱東京UFJ銀行(2018年三菱UFJ銀行に改称)となった。2005年3月末時点の東京三菱銀行の資本金9970億円、総資産81兆1102億円、国内店舗数278、海外拠点数73であった。
[村本 孜 2018年8月21日]