三衣一鉢(読み)サンエイッパツ

デジタル大辞泉 「三衣一鉢」の意味・読み・例文・類語

さんえ‐いっぱつ【三衣一鉢】

僧の具備すべき一式の品。三衣食器の鉢。

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精選版 日本国語大辞典 「三衣一鉢」の意味・読み・例文・類語

さんえ‐いっぱつ【三衣一鉢】

  1. 〘 名詞 〙 三衣と一個の食器用の鉢。僧侶が携帯するささやかな持ち物。
    1. [初出の実例]「三衣一鉢誰補闕之」(出典権記‐長保三年(1001)一月七日)

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改訂新版 世界大百科事典 「三衣一鉢」の意味・わかりやすい解説

三衣一鉢 (さんえいっぱつ)

仏教の出家修行者すなわち比丘(びく)が所有を許された3種類の衣と鉢(乞食(こつじき)用の食器)のこと。〈さんねいっぱつ〉などともいう。三衣とは,一番下に身に着けるアンタルバーサantarvāsa(下衣。安陀会(あんだえ)と音写される),その上に着るウッタラーサンガuttarāsaṅga(大衣鬱多羅僧うつたらそう)),そして時にさらにその上に着るサンガーティsaṃghāṭi(重衣。僧伽梨(そうぎやり))のことで,これらはいずれも形や大きさ,色,縫製法,着用法などが定められていた。三衣を総称して〈袈裟(けさ)〉ともいうが,これはその色にちなんだ名称である。初期の出家者は質素な生活を旨としていたので,実際に私物として所有を許されたのはこの三衣一鉢と座具(ざぐ),漉水囊(ろくすいのう)の〈六物(ろくもつ)〉だけであった。種々の所有が認められるようになった後も,この衣と鉢は出家者の最もたいせつな持物とされ,また出家生活の象徴として重んじられている。
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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「三衣一鉢」の意味・わかりやすい解説

三衣一鉢
さんえいっぱち

仏教で修行僧が私有することを許された6種の生活用具 (六物 ) のうちの4種。大衣,上衣,中衣 (以上を三衣という) ,鉢の4つ。

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世界大百科事典(旧版)内の三衣一鉢の言及

【雲水】より

…絡子(らくす)をかけ,白木綿の手甲(てつこう)・脚絆(きやはん)をつけ,わらじをはき,機能的で簡素な服装である。所持品は,三衣一鉢(さんねいつぱつ)といわれるように,必要最小限度のもので,振分けにして肩にかける。前の袈裟行李(けさごうり)には,袈裟,白衣,かみそり,経典や三物(嗣書,血脈,大事)などを入れる。…

【三衣一鉢】より

…三衣を総称して〈袈裟(けさ)〉ともいうが,これはその色にちなんだ名称である。初期の出家者は質素な生活を旨としていたので,実際に私物として所有を許されたのはこの三衣一鉢と座具(ざぐ),漉水囊(ろくすいのう)の〈六物(ろくもつ)〉だけであった。種々の所有が認められるようになった後も,この衣と鉢は出家者の最もたいせつな持物とされ,また出家生活の象徴として重んじられている。…

※「三衣一鉢」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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