初期の仏教で,出家者(比丘(びく))が所有を義務づけられた六つの生活用品のこと。比丘六物ともいう。具体的には,3種類の衣(ころも)(袈裟(けさ))と鉢(合わせて〈三衣一鉢(さんねいつぱつ)〉という),それに漉水囊(ろくすいのう)(飲水から虫を除くための水こし)と坐具(敷物)の六つをいう。六物はいわば出家生活の必需品であり,その形,大きさ,材質などには厳しい制限があった。また,出家者が所有を許されたのは,この六物のほかには,薬(陳棄薬(ちんきやく)),針などごくわずかなものだけであった。これらはいずれも,その所有者が亡くなると,看病者をはじめ他の比丘たちに分け与えられるのが原則であった。後の大乗仏教になると,出家者の所持物も〈十八物(じゆうはちもつ)〉といわれるように,その数が多くなる。
執筆者:岩松 浅夫
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…釣漁業が有効なのは,魚が多く群れていても,その場所が岩礁付近で,網漁具を使用して魚を捕獲することが困難であり,釣りにたよらざるをえない場合とか,水深の深い場所に生息する魚種をめあてに捕獲しようとする場合である。 こうした,釣漁業をおこなうための漁具には,釣針,釣糸,おもり(いわ),うき(あば),釣りざお,餌(擬餌)などがあり,これらを〈六物(ろくぶつ)〉とよんでいたこともあるが,釣具は職漁,遊漁をとわず,漁獲対象物や各地の伝統的な漁法により,その組合せ方は実に多様である。しかし,こうした釣漁業をおこなうための漁具,漁法を類型化し,それを分類すると,直接的な釣漁業と間接的な釣漁業に分けることができる。…
…各部の名称を図に示す。ミミズをだんご状に丸めて用いる松島湾のハゼ釣りや,南太平洋のたこ(凧)とクモの巣を使ったダツ釣りのように,釣針を使わない釣りもまれにあるが,釣針は釣りの六物(釣針,釣糸,釣りざお,餌,おもり,うき)のなかで最も重要な要素である。形によって特徴があるので,対象,目的によって使い分ける。…
…後者はおもに密教において,曼荼羅(まんだら)の諸尊の供養のために五宝,五香,五薬,五穀,香水などを収める容器として用いられ,宝瓶,賢瓶などともいわれる。いずれにしても,瓶は小乗の比丘の〈六物(ろくもつ)〉には含まれていないところから,とくに大乗になってから重視されるようになり,さらに密教において重要な法具とされるに至ったということができよう。【岩松 浅夫】。…
※「六物」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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